第362回
経済の発展がお役所の気風を変えます

中国のお役所ではそれぞれの役人に
それぞれの仕事の縄張りがあります。
町の看板を監督する役人には看板の、
また道路の掃除を監督する役人には
清掃についての縄張り意識があります。
それを犯すと大へんな喧嘩になりますので、
お互いに慎重に自分の分を守っています。

ちょっとでも自分の権限内の違反を見つけたら、
それは担当者のメシのタネになります。
看板をかける許可をもらわずに看板をかけたら、
その日のうちにはずす命令がきます。
駐車についても罰金が課せられます。
しかし、まいないをすると、見て見ぬフリをして、
物売りも大っぴらにできるし、
片側駐車がいつの間にか両側駐車になってしまいます。
それをほかの係りが文句をつけることはできないし、
やらないことになっています。

どうして役人がこんなにたくさんいて、
小さなことにもいちいち干渉するかというと、
役人に仕事がないからです。
中国の商行為が原則許可制になっていて、
何でもいちいちお役所のライセンスを
もらうシステムになっているのは、
権力の存在を誇示するものであり、
且つそれによって木っ葉役人でも
メシのタネにありつけるからです。

こんな非能率で威張り散らすシステムを
改めさせる方法はないものかと誰でも思います。
それがあるのです。
お役人のサラリーが安すぎて誰も成り手がいなくなったら、
取り締まりに手がまわらなくなって
役所の制度が変わってしまいます。
しかし、そのためには経済が発展して
企業からの求人がふえることが必要です。

中国の人たちはそんなことが起るとは思っていませんが、
私はその実例を経済の成長する台湾で見てきました。
かつての台湾は中国の現在以上に官僚的でしたが、
(蒋介石からそっくりそのまま台湾に持ち込んできたので)
民間の給与がお役所の給与をオーバーするようになると、
お役人の成り手が減って民主化がすすみました。
経済の発展が政治を変えるんです。


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2001年3月7日(水)

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