第262回
衣料品売場に専門衣料店の殴り込み
日本のデパートは呉服屋あがりでしたから、
2階の一番いい場所が呉服屋売場でした。
呉服が売れなくなってから、
呉服売場は2階から3階、
3階から4階へと追い上げられ、
とうとう婦人服売場の片隅に生き残っておれば
いい方だということになってしまいました。
ふだん着はみな洋服になってしまったので
デパートの稼ぎ頭は衣料品、なかでも婦人服売場です。
紳士も服を着ることでは同じですから、
男物も女物と同じように売れておかしくはありませんが、
どうしても女性のおしゃれが優先します。
またおしゃれに熱心で、
そのためのお金を惜しまないのは若い男女ですから、
売れ口を狙うとすれば、
若者向きの衣料ということになります。
また数量で勝負しようということになれば、
男女を問わず肌着とか靴下、ズボンなどの
実用品ということになります。
これは安さが物を言います。
しかし、衣料品は安さのほかに
センスのよさが要求されます。
すると、臨場感のあるデザインや企画が欠かせなくなり、
企画は日本でやって、
生産はコストが安い中国でやるという
国際的な分業を実行しなければなりません。
縫製加工を中国とかベトナムあたりに
委託している業者は既にありますが、
センスでデパートと勝負できるレベルに
達していなければ、
デパートに打ち勝つことはできません。
そういう武器を身につけて
デパートとスーパーに攻撃をかけているのが
ユニクロであり、またしまむらでしょう。
いずれもかなりの利益をあげ、
株価も高い水準にありますが、
デパートやスーパーの衣料品売場を
攻略の目標にしていることに間違いありません。
そしてかなりの成果をあげていることも事実です。
衣料品売場はデパートにとっても、
スーパーにとっても稼ぎ頭ですから、
この一角が崩れると業績に影響して
利益が大きく後退してしまいます。
デパートやスーパーの株が下がり、
それを攻撃目標にしている
新興専門店の株価が高騰しているのは
決して偶然ではないのです。
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