第257回
デパートより深刻なスーパーの不況

安売り屋さんのはじまりはそもそもスーパーでした。
日本ではメーカーから商品が消費者の手元に届くまでに、
1次問屋、2次問屋、小売屋と長い流通経路を通ります。
その度に手数料が支払われるので、
私たちがデパートや専門店や小売り屋で物を買うまでに
高い値段になってしまいます。

アメリカではじまったスーパーは
その間を省略して、メーカーから直に仕入れるとか、
畑から野菜売場へ直通とかで、
店のインテリアや宣伝費もできるだけ省略して、
安く消費者のもとに届くことをモットーとしました。
だから倉庫のようなところに店を構えたし、
チラシ広告くらいしか宣伝にお金をかけませんでした。
それでも安いことをききつけて、
ドッとお客が集まったので、スーパーが大成長して、
全国的な展開のできる大スーパーさえ誕生したのです。

いまから40何年前に、アメリカの商業視察に出かけた
30才前後の若い小売店主たちが
それを見て大きな刺激を受け、
日本に帰ってから見様見真似でスタートしたのが
ダイエーやイトーヨーカ堂やジャスコなどに
なったのです。

問屋を通さずにできるだけ中間業者を省いたので、
「問屋無用論」という本が出て
ベストセラーズになったことがあります。
「良い物をできるだけ安く」という
中内功さんの発明したスローガンは
歴史的な意味を持っています。

しかし、大成長をして
全国的なスケールの大スーパーになった業者たちは
デパートに近い商品構成をするようになったし、
問屋をつかった方が
結局は好都合だということもわかったし、
従って値段はデパートよりは
少し安いかも知れないけれど、
品質でデパートに劣る商法を展開するようになったので、
次第にデパートと見分けのつかない存在に
なってしまいました。

そこへ構造的な不況が襲ってくると、
デパートも四苦八苦しますが、
スーパーの受ける影響はもっと深刻です。
あの勢いのよかったダイエーが
あんなことになったのを見てもおわかりでしょう。


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