第243回
日本的経営をバカにするな

日本人が経済成長に成功したのは、
日本人がグループで行動することにたけていることと
関係があります。
とりわけ物をつくる過程においては、
一糸乱れぬ協力が必要で、
パーツ1つ、生産工程のどこか1ヵ所に欠陥があっても
完全な製品はできてきません。
他の部署の過失も自分たちの過失であると思うだけの
協力体制ができていないと、
世界中から信頼されるようなメイド・イン・ジャパンは
できてこないのです。

日本人のこうしたグループ意識は
日本人の長い歴史の過程で
自然にはぐくまれたものであって、
1日にしてできあがったものではありません。
安土桃山時代までは日本のサムライたちも
自分たちの利害を中心にして行動した足跡が
残っていますが、
徳川時代になって藩制が確立し、
藩主の利益が即藩士たちの利益という体制が定着すると、
藩内で意見の対立が起っても
最終的には大勢に従う習慣がついてしまったのでしょう。

それが維新後は、政党や役所や大会社に引き継がれ、
戦後は一転して多くの産業戦士を抱える
日本の会社社会の主流になったのではないでしょうか。
会社はその成員を構成しているサラリーマンたちの
忠誠心によって成り立ってきましたが、
その代わりその成員たちの生活の面倒を
少なくとも定年退職までは見る義務を背負っています。
日本的経営の長所も欠点もそこに発しています。

たとえば社員の忠勤を要求する代わりに
終身雇用や年功序列給をとらざるを得なかったし、
それが会社の重荷になってしまったことも否めません。
大過なき限り会社をクビになることがないことが
会社にぶらさがって生きる月給ドロボーを生むことになり、
社内の空気を澱ませています。
しかし、手や足がバラバラに動くのと違って
巨体な組織になっても
日本の会社がなお1つの有機体として動くという特長を
備えていることも事実です。
それがこの大不況の中にあっても
日本人の生活を支えていますから、
そうバカにしたものではありません。


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