第216回
純度が高くなると効力がなくなる

ご存じの方もあるかと思いますが、
エイズに効く「カクテル療法」を考案して、
アメリカで医学賞をもらったのは台湾の人です。
決定打はないが、エイズに効果がありと
認められた薬をまぜあわせて患者にあたえたら、
完治はしないけれど、病状が進行しないことが
わかったのです。
これこそ漢方で育てられた人ならではの着想と
言ってよいでしょう。

かつてインターフェロンが乳ガンとか腸ガンの
特効薬にあるらしいといってハヤされたことがあります。
それならばというので、
或る研究所で、インターフェロンの精製をして
純度の高いものをエクストライトして患者にあたえたら、
さっぱりきかなくなったそです。
西洋医学は病気に効く薬品を突きとめることに
きゅうきゅうとしますが、
人体にきくものは純度の高いものとは限らないようです。
むしろ異なった物質と物質の相乗効果によって
細胞に程よい反応が起る可能性があります。

エイズのカクテル療法は漢方的発想の応用と
言ってよいでしょう。

「天仙液」も恐らくそうした発想の産物だと思います。
処方をしたご本人にしても、何が本当にきいているか
わからないかも知れません。
漢方の場合は経験的に効くことがわかると、
あとは調合を変えることによって
実際の結果を処方に少しずつ反映させます。
最近、新しい「天仙液」が市販されているとききましたが、
きっとそうした改良が進んだからでしょう。

私は発明した王振国という人に会ったことはありませんが、
長白山脈の山の中まで訪ねて行った友人にきくと、
癌の特効薬を発明して巨額の財に恵まれたご本人は
宮殿のような豪華な中国風の建物を建てて
その中に住んでいるそうです。
世の中に功献するようなことをしたのですから、
当然の報酬かも知れませんが、
如何にも中国人らしい現世主義的な生き方ですね。
でも人のやれなかったことをやれたとすれば、
それはそれで世の中のためになったことも確かです。
あまり純度の高い生き方は中国人に向いてないと
言えるかも知れませんね。


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