第188回
中国は半導体パーツの輸出国になる
台湾はいつの間にか
シリコン・アイランドと呼ばれるようになりましたが、
そのはじまりはアメリカの
コンピューター・メーカーのごく一部の
小さなパーツ・メーカーから出発しています。
今日ではパソコンやノート・パソコンの
完成品メーカーもあるようになりましたが、
大半はパーツ・メーカーです。
1つの製品としては小さなものですが、
大量生産をするようになって、
品質においても、価格競争でも
世界で肩を並べるものがないというのが
たくさんあります。
その生い立ちから言っても、
アウトソーシングに出すものを
自分たちが会社からとび出して引き受けていますから、
独自の技術が売り物であるというよりは、
サービスの良さと価格の安さで成り立っています。
たとえばコンピューター・メーカーが
従来、2ヶ月分の在庫を持っていたパーツを、
発注してから必ず2週間以内に届けます、
もし万一遅れるようなことがあったら
甘んじて罰金を払いますという申し出をして
在庫を2ヶ月から2週間に改めさせます。
その分、資金が寝なくともすむから
どこのメーカーでも喜んでくれます。
また毎年、コストを30%引き下げるから
その代わり発注数量を倍にしてほしいというと、
アメリカでは逆立ちしてもできない相談ですから、
いつの間にか発注を独占してしまうことになります。
その代わり約束をはたすためには、
台湾で生産していたのでは間に合わなくなり、
コストダウンのため工場を
遥かに賃金の安い地域に移すよりほかなくなります。
最初の頃はタイ、マレーシア、あるいはフィリピンに
工場を移したこともありましたが、
最近では広東省の東莞地方、また江蘇省の昆山市が
台湾の半導体メーカーの主たる移転先になっています。
これらの先端産業のパーツの輸出が
繊維や雑貨や家電製品に上乗せされますから、
ただでさえ突出している貿易黒字が
もっと天文学的数字になって行くことは
目に見えています。
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