第157回
ハイタッチのことを忘れていませんか
古い秩序が崩壊する時は
いつも選手交替のチャンスです。
信長が本能寺の変にあわなければ、
秀吉にチャンスがなかったでしょう。
秀吉が死ななければ、家康に天下取りの番は
まわって来なかったでしょう。
そう言った意味では古い秩序の崩壊は
必ずしも悪いことではないのです。
いまは昭和35年から約30年間続いた工業化社会が
ほぼ飽和点に達して、
約10年間の停滞期を経て、
新しい時代のはじまるところです。
学者の先生方は情報化社会と言っていますが、
サービス化社会と言った方がいいかも知れません。
地球の裏側で起ったことでも映像になって
瞬間に伝わってしまうために、
情報鎖国が不可能になってしまいましたが、
情報を運ぶ手段も、どんな情報を運ぶかという仕事も
すべてサービスであって、
物をつくって売る仕事ではありません。
とりあえず情報を運ぶための電話とインターネットという
新しい乗物が実用化の段階に入ったので、
いまは通信と情報という分野に人気が集中していますが、
ハイテクだけがサービスではありません。
お金の貸し借りも、
物を買う代わりに借りて使う新しい習慣も、
また美容や健康の管理やスポーツや旅行も
すべてサービス業です。
本当はサービスの分野は
生産や販売よりもずっと広範囲にわたって、
私たちの日常生活とかかわりあっているのです。
そういう分野に
無限の未開発の処女地があると思いませんか、
もっときめの細かいサービスにつとめれば、
開拓の余地はいくらでもあります。
たとえば、人々の頭に訴える仕事が
ハイテクの分野だとすれば、
心を満足させるような仕事は
ハイタッチの分野であると言ってよいでしょう。
いまはまず、IT、ITと騒いでいますが、
ハイテク以上に大きな可能性を持っているのは、
ハイタッチの分野です。
子供の教育から老齢化する社会の年寄りの面倒まで、
お客さまをより満足させるための工夫の余地は
まだまだたくさん残っています。
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