第114回
メイド・イン・チャイナをバカにするな
中国のミラノ温州市の繁華街を歩きながら、
世界中の有名ブランドが揃っているのにも
感心しましたが、それと反対に、
若者たちに人気のあるカジュアルウエアの中でも
最も値段の安いシャツやジーンズを中心に
レイアウトした店の多いのにも目を見張らされました。
香港や上海で展開されている商売のやり方が
そのままこの町でモデル・ショップになっているのです。
中国のファッションの震源地は上海です。
本店が上海にある有名ブランドも、工場は温州にあり、
町の中にモデル・ショップを出しています。
私はボスやアルマーニなどの
世界的な有名ブランドよりも、
中国のオリジナルのブランドに心ひかれました。
西洋風のファッションを心がけている以上、
発想やヒントは
欧米のメーカーから得ているのでしょうが、
先輩メーカーのコピーだけでなく、
我が道を行くメーカーがあってもよい筈だし、
またそうしたメーカーがどの程度の物をつくっているか、
私が一番関心を持っていることでした。
さんざ歩きまわった末に、
温州国際ホテルの真ん前にある
BAOXINIAO(報喜鳥)という店で、
ポロシャツ一枚と革靴を2足買いました。
恐らく町中で一番高い値段だったと思いますが、
シャツが385元(1人民元13円)、
靴が380元と340元でした。
よその店には半額以下の物もいくらでもありましたが、
安い物を買うと身につけないにきまっているから
大奮発をして一番高い物を買ったのです。
中国製の靴は生まれてはじめて買いました。
ふだん私が穿いている
テストーニやタニノクリスティの靴一足で
十足買える値段です。
外観を見ても少しも劣らないが、
穿き心地も意外にも劣らないんですね。
長い間、靴は日本製も中国製も
駄目だと思っていたのですが、
「彼は昔の彼ならず」なんですね。
いつまでも古い先入観にとらわれていると、
世間からとり残されてしまいかねないぞと
思いを新たにしました。
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