第107回
お金を使うのも修行のうち
お金は使わずに遺して死ぬよりも、
使いたいだけ使って死んだ方がいいにきまってます。
誰でもそのくらいのことは知っています。
でも、実際にそれができる人はあまり多くありません。
心配なことがたくさんあるからです。
お金を使いはたして死ぬ積りだったのが
死なないで生きていたらどうしようという
心配があります。
自分が死んだあと
遺された妻や子供のことを心配する人もあります。
事業を継続して行くために
使いたいお金も使わないで死ぬ人もあります。
大抵の人がお金を使いはたして死ぬよりも
お金を遺して死ぬ方を選ぶのです。
「相続した遺産は不労所得ですから
税金はとりやすいんですよ。」と私が
『ゼイキン報告』の執筆をした頃、
時の国税庁長官からきいたことがあります。
そういう話をきく度にお金儲けもいいけれど、
お金の使い方ももっと計画的にやらなくっちゃ、と思い、
自分なりにそれを実行してきました。
私が30年にわたって
ロールス・ロイスに乗り続けてきたのも、
世界旅行にファーストの切符を買い、
世界で代表的な超一流ホテルに泊まるのも、
お金を使う修行のためです。
皆さんは結構な身分ですねと思うかも知れませんが、
お金を使うことはお金を儲けるよりも
もっと難しいことです。
お金儲けが難しいことは
お金儲けのうまい人なら誰でもよく知っています。
さんざ苦労して儲けたお金ですから
それを使うことには抵抗があります。
その抵抗を押しきってお金を使うのですから、
そんなに楽なことではありません。
でもお金を一貫作業で完成品にしようと思えば、
意識的に抵抗を排除して
お金を使う努力をしなければなりません。
そんなに難しいことなら、
僕が代わりにやってあげましょうかという
友だちもいます。
でもそういう友だちは
大抵お金を儲けたことのない人です。
お金を儲けたことのない人の方が
金離れはよいようですね。
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