第71回
「同文同種は誤解のもと」

言葉の通じないことほど
いらいらすることはありません。
おなかがすいたとか、歯が痛いということなら、
手マネ足マネで何とかなりますが、
抽象的なこととか、相手の想像外のことを
説明しようとすると、たちまちお手上げになります。

英語なら学校でABCから習っていますから、
どんなに苦手な人でも、
CATとかDOGとかいった言葉くらいはわかるでしょう。
わからないのはむしろすぐお隣りの
韓国や中国の言葉です。
ハングル文字の看板は
民族意識の昂揚に役立つかも知れませんが、
外国人との意志疎通を妨げるものです。
韓国の町を歩いていて、韓国の人は
ずいぶん損をしているなあといつも思います。

その点、中国も日本も略字の採用で
スレ違いがかなりひどくなりましたが、
漢字がベースにありますので、
字を略したルールがわかれば、
ある程度の推測は可能です。
たとえば個人の個という字は
今の中国では个と書きます。
人が3人集まったという字は
衆という字になります。
ならば从は何でしょうか。
私も説明を受けるまではわかりませんでしたが、
従業員とか従事するとかの従という字なのです。
象形文字のできてきたプロセスを無視した
省略文字ですから、
漢学者の先生が怒るのも無理はありません。

日本の当用漢字や新カナづかいも、
旧カナづかいで育った年代の人から見ると
理不盡なものですが、
言葉はそれになれた人がふえて
通用するようになれば、
勝負あったと言ってよいでしょう。
そうなると、クダクダと不平を並べ立てるよりも、
日本でも中国でもいまの略字になれることが
人々のふところに飛び込む第1歩になります。

よく日本人と中国人は同文同種だから、
お互いに馴染みやすいという人がありますが、
それが間違いのもとなんですね。
漢字は大陸から輸入されたので、
同じ字が使われていますが、
時とすると、まるで違った意味に使われています。





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