第69回
「中国語は第2外語のトップになります」

人間の動きには必ず主流派と反主流、
また多数派と少数派があります。
留学生の主流派はアメリカを目指しますが、
それにさからってわざわざ別の国を選ぶ人も
少なくありません。

たとえば、大学で外国語を選ぶ場合でも
第1外国語はほとんどが英語ですが、
第2外国語になると、かなりバラエティーがあります。
スペイン語を選ぶ人もあれば、
中国語を選ぶ人もあります。
なかにはロシア語やマレー語を選ぶ人もあります。
誰でも喋れるような外国語では
特殊技能のうちに入りませんが、
アラビア語ができたり、エチオピア語ができたら、
メシのタネには困りませんものね。

その代わりその言語圏に縛りつけられてしまいます。
外語大学でロシア語を専攻しようものなら、
商社に就職しても、銀行に就職しても、
配属されるところはモスクワとか、
ウラジオストックといった地域にきまってしまいます。
ロシア人と同じようにマイナス何十度のところで生活し、
南下したい衝動に駆られるようになるでしょう。
だから、言葉を覚えるなら、
ただ稀少価値があるだけでなく、
自分が傾倒できる歴史や文化を持った国を
選ぶ必要があります。
それが少数派として一生を後悔しないですむ
ギリギリの条件です。

最近、見ていると、
大学を出てからアメリカに行く代わりに、
北京や上海を留学先に選ぶ若者がふえてきました。
留学先としては、もちろん、まだ少数派ですが、
中国を選ぶ動機は決して
個人の好みだけによるものではなさそうです。
何しろ世界の人口の4人に1人が中国人ですからね。

その中国で経済が
日本のあとを追って発展するとすれば、
ビジネスのチャンスは
想像もできないくらい大きくなります。
その中で日本人のはたす役割は、ということになりますと、
夢は大きくふくらみます。
中国語が第1外語にまでのしあがらないとしても、
第2外語のトップになるのは
そんなに遠い先のことではありませんね。





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