第62回
私なら外国に行きます
いまは失業の時代ですから、
大学を卒業しても皆が皆、
就職ができるとは限りません。
希望する会社に就職できないばかりでなく、
うっかりすると、職にあぶれることもあります。
そいう就職難の時代でも、
合格通知をもらいながら
入社をすっぽかす人もあるし、
入社して3ヶ月もたたないうちに
退職する人もあります。
いまの若い人は無責任だと
非難する声がよくきかれますが、
本当は社会が安定化の時代に入って、
まともな職に就かなくとも、
フリーターやっても身すぎ世すぎができる
時代になったからでしょう。
金銭万能の時代というけれど、
お金が欲しいとさえ思わなければ
お金にしばられないですむ時代になったのです。
若い人はかつてない自由な生き方ができます。
親の言うことをきかなくともいいし、
嫌な仕事をしなくとも
メシを食べて行けるようになったのですから。
でも自由になったらなったで、
自分の生き方を自分で決めなければなりません。
いまさら一流会社に勤める必要はないでしょう。
結婚することだって、その必要を感じなければ、
やることはないでしょう。
セックスのことなら、ほかに片づける方法は
いくらでもあるんですから。
私がこういう恵まれた環境におかれたとしたら、
会社に勤めるのはやめて
外国に行くことにします。
就職をしないと生活のできなかった時代は
就職をするよりほかなかったし、
そのために一流会社を選んだのは、
世間のきこえがよかったこともありますが、
一流会社の方が優秀な人材が集まっていて、
社会勉強をするのに好都合だったからです。
その頃に比べると、
既成秩序の中で勉強できることは
もうそんなに多くはないのではないでしょうか。
その点、西も東もわからない
外国に出かけて行くのは、
それ自身がベンチャーですから、
ベンチャー・ビジネスに就職するより
もっと大きな賭けです。
たとえ失敗したとしても失うものは
そんなに多くありません。
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