第54回
株にも治に居て乱を思う心がけが必要
株が大暴落をしている時に
敢然と買いに出るためには勇気が要ります。
もちろん、万一失敗しても
致命的な打撃を受けないだけの準備が必要ですが、
もっと大切なことはその株を
安値で拾うだけの値打ちがあるという自信です。
そのためにはふだんから
株式投資の環境についての認識と
いくつかの株に対する評価ができていることが前提です。
たとえば、相場の将来に対して弱気の見方をしている時は
株価が突っ込んだ時に手を出すことはできません。
私が大暴落を怖がらなかったのは、
日本の株式市場がこれから年末に向って
上昇期に向うと見ているからです。
上昇期には一時的に株価が下がることがあっても、
株価に勢いがあるので、
すぐまた登り坂にさしかかるものなのです。
株をやっている人なら、
その時々に注目している銘柄があるものです。
どういう銘柄に着目するかは人によって違いますから、
他人は間違っていて、
自分だけ正しいと決めつけることはできません。
たまたま私の場合はいくつかの証券株に注目していたので
株価の居所に対して自分なりの判断があって、
それより安ければ、たとえ火の中、水の中でも、
恐れを感じなかっただけのことです。
ふだんから、そういう目で相場に接しておれば、
大暴落は何年かに1ぺんの絶好のチャンスになります。
そうは言っても、大暴落の時は
自分の持株も軒並み水びたしになりますから、
損害を蒙らないわけには行きません。
大暴落が怖い人は株に近寄らない方がいいし、
怪我を怖がる人は大嵐の吹きまくっている間は、
窓を締めて家の中に引きこもって
じっと嵐の去るのを待つのが一番賢明なやり方です。
但し、台風一過、晴天が戻ってきても、
あちこち損害を受けたところが修復できるまでに
少しの時間と辛抱が必要です。
でもそんなに心配することはありません。
潮の流れに変わりがなければ、魚の居所に変わりはないし、
従って同じところに出て行けば
また魚をとることができるからです。
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