第40回
情けは自分のためにもなります

どんな株を買おうかと思案するのも、
会社のコンサルタントをやって
社長さんたちの相談相手になるのも、
また税金を節約する方法を考えるのも、
みんな自分のためになります。
しかし、人の相談にのって、
その人の金銭上の悩みを解決してあげるのには
とてもかないません。

「情けは人のためならず」というコトワザは
人に情けを施せば、めぐりめぐって
自分にかえってくるという意味ですが、
近頃の人は人に情けをかけるのは
その人のためにならないと解釈しているそうです。
確かにそういう面もありますが、
人に親切にしてあげることが
結局はじぶんのためになるというのは本当ですね。

会社のコンサルタントを廃業してしまった私は
人のお金儲けの手伝いをする仕事から
しばらく遠ざかっていましたが、
その私に個人の相談に応ずるようにすすめたのは
北海道タイムスの社長を辞めて、
人生の再出発をするために、札幌から東京に出て来た
竹田再厳さんという人でした。

50才をすぎてからの再出発ですから
成功の確率は低いのですが、竹田さんは
広告代理店、競馬新聞と私の反対を押し切って
ニュービジネスに挑戦しましたが、
結局スッテンテンになってしまいました。
最後に油絵を10回分割払いで頒布することを思いつき、
私に相談したのですが、
私も自信がなかったので
「ちょっと待って下さい、家に帰って
うちのかみさんに相談してみますから」
と言ったら、
「あなたは金儲けの神様じゃないんですか」
と言いかえされ、
「いや、神様にはまだかみさんがいるんです」
と言って、家に帰って
絵心のあるうちのかみさんに相談したんです。

うちのかみさんが賛成したので、
「やってみたらいかがですか」
とすすめてスタートしたのが
「一枚の繪」という新しい形の美術商でした。
一枚5万円の絵を売ることからはじめて
最盛期は年に25億円も
売り上げがあるようになりました。
竹田さん自身が私に相談することから再出発したので、
私に人の相談にのることをすすめたんです。





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