大型店を救う大型店規制法
しかし、電鉄会社がいい商売だからといって、誰でもこれからはじめられるという性質のものではない。いまの電鉄会社はいずれも大正時代から昭和のはじめにつくられたものであり、その時代としては新しい事業であった。それだけに、創業期の電鉄会社の社長たちは血のにじむような苦労をしている。その果実がみのって、たまたまその後を継いだ息子たちがラクをさせてもらっているというだけのことで、一九八〇年代のいま、新規にはじめられる商売ではないのである。認可を受けることももちろん、容易ではないが、かりにできたとしても、住民パワーの強い昨今、土地の買収はもとよりのこと、莫大な設備投資をしてもとうてい、採算にのらない種類の事業になってしまった。
このことは、今までの電鉄会社が本業の次に何に手を出したかを見ればすぐにわかることである。時代が変われば交通の手段も変わってくる。電車の次に出現したものは自動車であり、航空機である。だから、電鉄会社が電車の整備に夢中になっている間に、トラックによる貨物輪送のルートを確立した人は大運送会社の社長になったし、航空会社の経営をはじめた企業は、世界的なスケールの大企業に成長した。そして、それらの新事業で成功した人々が乗り出した次の事業は、ホテル・チェーンづくりである。
ホテルは、事業としては鉄道の発展とともに歴史のあるものであるが、現金商売と不動産業を兼ねた商売であり、融資の対象としては比較的安全である。しかし金儲けということになると、資本のかかるわりに売上げが少ないし、儲けも少ないから、独占的な地位にある電鉄に比べると、かなり遜色がある。おそらくホテルの経営は、今日の大企業の経営者が熱を入れているほどの魅力はないことが、やがてはっきりするときが来るであろう。
そういう割りの悪い商売よりも、現金商売で近年、大成長をとげたのは、何といってもスーパー・マーケットであろう。いま日本で上位を占めるスーパーの社長で、電鉄を背景にしたものは西武と東急くらいのもので、あとはいずれも小店主からのしあがった人たちばかりである。この人たちの一年にあげている業績は、電鉄会社のそれを上回るものであり、それがどこからきたかというと、やはり現金商売と不動産の組合わせの上に成り立っているのである。
日本におけるスーパーの歴史はせいぜい二十五年であり、この二十五年にスーパーが巨大産業に成長したのは、大量仕入れ大量販売によって、零細小売業を食うことができたからであった。
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