第87回
トイレ掃除で金運をつかんだ福富太郎
”キャバレー王”の異名をとる福富太郎さんが、
どうして二十代でキャバレーの店長を任せられたかについてきいたことがあります。
もともとはボーイの一人にすぎなかったのが、
あっという間に店長になったのは、
福富さんに言わせると、
「トイレ掃除のような、人の嫌がる仕事をすすんでやるように心がけていた」
からだそうです。
キャバレーはお客様商売です。
トイレなどを汚したままにしておくことは、
いちばんのタブーです。
しかし、トイレ掃除は誰もすすんでやろうとはしない。
ときには大便が詰まってしまうようなこともあります。
すると、ますます掃除をしたくない。
ところが福富さんは農家の出身だったので、
肥桶を担いだこともあるし、糞尿に対して汚いという感覚があまりありません。
あるとき、浄化槽があふれてみんなが困っていたところ、
福富さんはさっと中にはいって、
それこそ体中をクソだらけにしながら、きれいにしたといいます。
その姿をオーナーが見ていて、
「こいつはなかなかやるわい」と思って、
若い福富さんにお店を任せたのです。 |