第46回
贈り物に、見返りを期待するな

もっとも、贈り物をしたり、ごちそうしたりするとき、
その効果はあまり期待しないほうがいいと思います。
一千万円のダイヤモンドを贈って、
それを受けとってもらったというのなら、
こちらの魂胆も、向こうにわかってもらえるでしょう。
でも、通常のやりとりぐらいでは、
何かを期待するほうがみみっちい。
けっして、上手なお金の使い方とはいえません。

私はよく人をごちそうするし、
ごちそうになることもあります。
そうした場合、私は見返りを期待したことはほとんどありません。
あるとき、某映画会社の重役さんに、
私の秘書を通じて、「ごちそうしますからおいでになりませんか」と
電話をしたことがあります。
そうしたら、「目的はなんですか」と聞き返されました。
私は、「あの社会じゃ、目的のあるときしか人にごちそうしないのかなあ」
とおかしくなったものです。

俗に中国の言葉に、
「兵を養うのは十年、兵を使うのは三日」というのがあります。
ふだんから人間関係をうまく保っておけば、
万がーのときは、それが生きてくる可能性はあります。
でも、そんなことは、あらかじめ期待しないほうがいいと思います。