前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第294回
なぜ日本人幼稚園にしたか

学生の頃から、ユダヤ人はジプシーと並んで
私には訳の分らない民族で、気になっていました。。
他国に入り込みながらその国に染まらずに、
伝統を捨てない民族、というのは私の理解を越えていました。
少し世界の事を知ってくると、逆に日本の方が、
世界の平均よりは、かなり染まり易いところがあるようですが。
信仰もいい加減、主義主張もころころ変わり、
法律に対する態度もいい加減で、悪いような良いような日本です。

私の姪夫婦はロンドンに2年ほど住むために引っ越して来て、
2人の子供のために幼稚園探しをしました。
地元の子供と一緒に遊ぶ体験をさせようと、調べて、
街の幼稚園に様子を見に行きました。
目的地が近づいてくると、ほかの街と様子が違ってきました。
道がどんどん狭くなってきます。
建物の壁が両側から迫ってきて、
すれ違うのも身体を端に寄せなければならないようになりました。
要するに、古いユダヤ人街そのままなのですが、
今まで見たことも無い通りで、ちょっと気持ち悪いのです。
ロンドンとは思えない通りで、
ここも毎日通園すれば慣れるでしょうが、不安になりました。
それでも見学の約束をしていたので歩いていくと、
狭い道がふいに開けて小さな空間があったそうです。
そこにはユダヤ教の会合のための建物があり、
その横に、目的の幼稚園がありました。

幼稚園では、皆で何だか変わった歌を歌っていました。
イギリス風の子供は少なくて、
その日は皆でパキスタンの歌を歌っていたのでした。
パキスタンなら多分回教徒の国の子供ですが、
そういえばイスラエル国籍の人の中にも回教徒は15%もいるのです。
その幼稚園の、教育的、政治的、良心的な姿勢が感じられます。
しかし、結局姪夫婦は、狭い通りに囲まれた環境と、
あまりイギリス的とは言えない様子が、どうも心配になりました。
それで、結局日本人幼稚園にしたそうです。


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2005年8月31日(水)

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