前川正博さんはこうして
福祉の国で、国にたよらずに根をおろしました

第254回
値段が下がると買いたくない

3年前隣のデンマーク人の家に食事によばれた時、
話題は私達の若かった時代と現在との比較になりました。
彼らの19歳になる娘は、
ボーイ・フレンドと一緒にマンションを借りて住んでいます。
そこが狭いので、2人は広いマンションを物色してみたそうです。
しかし余りにも高いので断念してしまいました。
そこで隣の奥さんは
「今の若い人は、一軒家もマンションも値上がりしていて、
とても買うことが出来ません」と言いました。
確かに私達の買った頃からは大分高くなっているし、
税金の控除率も大変低くなったので条件が厳しくなりました。
しかし、ローンの利子が高い時の3分の1以下になり、
給料も上がっているので、
実質的にはそれ程ではないと私は思いました。
ただ、コンピューターや電話、旅行など、
生活必需品の幅が広がって、
住居に回せるお金が少なくはなっています。

それから3年たちましたが、不動産の値段は他の物価に比べたら、
値上がりの率は5倍も10倍もあります。
これではとても家を買うことが出来きそうもないので、
賃貸に住む人が増えているのではないか、と思うところです。
ところが、これが反対なのですから、
デンマークでもQさんの読みの正しさが証明されるのです。

日本は不動産が安くなりましたが、
だからといって
今まで買えなかった人が家を買うわけではないのでした。
手に届く値段になると
“もっと安くなるのではないか?”と、心配になり、
かえって手が出ないのです。

デンマークの不動産の値段は、
お隣が「高くて買えない」と言っていた頃から、
なおも3割以上あがりました。
しかし、上がったがゆえに、
「これからももっと上がるだろう」という安心感がでて、
頑張って買う人が増えるのでした。
そういうわけで、
値上がりのもっとも激しかったコペンハーゲンでは、
持ち家の比率がもっとも上がったそうです。
コペンハーゲンで平均的な家を持っていれば、
昨年は1日に2万円づつ値上がりしたことになりました。
住んでいる家の値上がりは、その他のあらゆる収入と違って、
売る段になっても税金が掛らないので、なかなか大きいのです。
手取り1日2万円というと、
デンマークでは毎日5万円、月で150万円もの副収入に相当します。
そこで、財産が増えて気が大きくなり、
消費が増えて景気がよくなっています。

英国も米国も持ち家の比率が非常に高いそうですが、
両国とも近年の値上がりの激しい国ということです。
値段が上がるなら買いたいのは人間共通の心理なので、
Qさんの分析は国が違っても当てはまるのです。


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2005年7月6日(水)

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