第150回
上海に行く前には脅かされましたが
コペンハーゲンには北欧写真店という、
私の知りあいの中国人の開いている小さな写真屋があります。
フィルムの現像の他に写真も撮ります。
彼はデンマークの王室の写真を撮る許可を持っていますが、
今はその方の仕事はほとんどないようです。
あんまり上手じゃないのです。
でも、日本の天皇ご夫妻がみえられた時は、
珍しいアングルで皇后様の写真を綺麗に撮っていました。
デンマーク女王は
「日本の皇室とデンマーク王室とは、違いが余りにも大きいです」
と、訪日後の記者会見で語っていました。
警備なしでは安全に不安があると判断されていて、
自由な意志も制限される日本の皇室は、
かなり異質なものに見えるようです。
デンマークの王室のメンバーは、お供が付く位で
ショッピングやレストランの食事ができる自由があります。
皇太子達は夜の街で、友人達と気勢を上げるのが大好きなようです。
女王は国民の生活の違いより、
ロイヤル・ファミリー同士の暮しの違いの方が目に付くようでした。
さて、写真屋の中国人は、
上海で写真屋を開きたいという中国人に、現像の機械を送りました。
彼の話ではわざわざコペンハーゲン市長に出席してもらい、
上海市長も呼んで、オープニングの式典を開いたそうです。
もっとも手違いで、その日に機械が届かなかったそうです。
彼も勿論セレモニーには参加しました。
それが3年前の事です
そして、上海に店を開いた中国人は、
機械の代金約900万円を今だに払ってくれないそうです。
上海の向かいの寧波(ニンポー)という町には、
工場や卸売りの店がたくさん有るそうです。
その寧波に住んでいる人が北欧写真店に遊びにきていたので、
北欧写真店の人の通訳で話を聞きました。
私が寧波の工場や製品を見学に行くつもりなのを知ると、彼は
「仕入れをする時は気をつけて。絶対前金を払ってはいけないよ」
と、私に忠告してくれました。
私に寧波を教えてくれた、日本のNさんにその事を尋ねると
「それでは誰も送ってくれんでしょう」と、言います。
Nさんは寧波からも輸入をしていましたが、
ドジな私が中国の会社と取引を始めるには、どうも不安が伴います。
ベトナムで一緒になった100円ショップの仕入れをする人は
「中国からの輸入品は“3割を破棄する”と、
計算に織り込んで仕入れまんねん」
と語っていました。
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