第1133回
公的年金
厚生労働省は25日に公的年金の受給額の試算結果を出しました。
今年65歳になり
厚生年金を受け取るモデル世帯(40年加入、妻が専業主婦)の場合は
20年後の受給額が
現役世代の手取り収入の約4割となる見通しです。
ほかに、40年間共働き世帯の場合ですと
今年度受給開始時の年金額が27万9000円で
対現役比は48.3%、単身男性では15万7000円で43.9%と
初めから50%を割り込んでいます。
政府は受給開始時の「5割確保」を約束しており、
厚労省は今年2月に
5年に1度実施する公的年金の財政検証を公表し、
現役世代の平均手取り収入に対する厚生年金の給付水準について
モデル世帯は現在の62.3%から徐々に低下するものの、
2038年度以降は50.1%を確保できるとの試算を出しています。
また、2004年の年金改革では、
受給が始まった高齢者の年金額も
物価が上昇しても、翌年度の年金増額を小幅にとどめる
「マクロ経済スライド」で
徐々に目減りさせることが決まっています。
現在65歳のモデル世帯の場合、
名目額は10年後の75歳時点で23万2000円に増えますが、
現在の貨幣価値に換算した実質額は20万5000円と、
現在より1万8000円減ります。
85歳時点の価値は、
現在より2万4000円目減りする計算となっています。
ではこのように実際に機能するかといえば、
物価上昇率、賃金上昇率、運用利回り、
また年金を支払う人がどれだけいるかによっても
試算は大きく違ってくるでしょう。
厚生労働省は5月1日に物価上昇率などの経済指標が
過去10年の平均値で推移した場合、
2031年度に厚生年金の積立金が枯渇するとの試算をまとめています。
この内容を見てもこれから年金問題は二転三転していくでしょう。
ひょっとしたら年金崩壊ということもありえるかもしれません。
政府を信用できないために
年金を支払うのを躊躇っている人も多いですから、
公的年金を当てにするよりも自分で老後資金を作っていくほうが
現実的だと考える人も多いのではないでしょうか。
(次回に続く)
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