| 第217回配当金での投資
 株式投資において配当金で株数を増やしていくことなど
 難しいのではないかと考えがちです。
 ですがそうではありません。
 ”塵も積もれば山となる”ではないですが
 実際は投資において非常な力となります。
 例えば、毎年5%配当を出している企業に投資したとします。その配当金を10年間投資資金にまわした、とします。
 5%が10年間ということは
 50%になりますので投資金額の半分にあたります。
 ですが、この数字は間違っています。
 どういうことかといいますと、
 投資期間が1年のときにはこの計算は正しのですが、
 2年目になると変わってきます。
 つまり1年目は1.05に増えますが、
 次の年には1に対してではなく1.05に対しての5%になります。
 ですから数字の上では
 5%たした数字に前年度の5%分の配当がつきますので
 1.1025%に増えます。
 このように少しずつですが金額は上がっていきます。
 10年目では62.88%が配当金で増えている分になります。
 (この計算の中では税金分、証券会社の手数料、税金は除外し、
 単に5%だけの計算でだしています。)
 ですから10年後には株数でも
 単純に考えて1.6288倍になっています。
 ここまでが第一の投資の基本的な見方です。
 では投資した企業が10年間毎年20%成長していき、成長した20%分を配当金としても
 株主に還元(だした)場合はどうでしょうか。
 投資1年目では企業が成長した20%分が配当金に加算されます。この場合は1年後は120÷0.05=6.00です。
 つまり6%の配当金が次の年に再度投資できる金額です。
 企業自身は10年間で6.19倍に成長しています。
 では配当金は10年後いくらになっているのでしょうか。
 ここでは配当金を考える時に
 配当金プラス企業成長率20%を含んだ数字で見ていきます 。
 この場合ですと企業が成長する20%分と
 配当金の5%をたした25%で計算していきます。
 20%成長 10年後  6.19倍25%成長 10年後  9.31倍
 たった5%違っただけなのに25%成長のほうが3.13倍も増えています。
 なぜこんなにも増えたのでしょうか。
 これはどういうことか、というと、
 20%成長の上にのっかった配当金5%分が上乗せされたことで
 投資相乗効果が表れ
 投資率アップでより高い収益率上昇になったということです。
 このように例え5%でも
 企業の成長性と合わせて投資をしたときには
 普通では考えられない数字になって表れてきます。
   9.31倍(25%成長)−6.19倍 (20%成長)=3.13倍 
 この3.13倍の利益は5%が貢献している数字です。
 たかが5%、されど5%の差です。
 このように配当金でも使い道によっては
 投資結果に多大な貢献をしてくれるのです。
 1年、2年間だけ見たら無償株と配当金を見てもたいした成果が見えません。
 ですが、長期で考えた時には
 投資結果について大きな差がでてきます。
 ここでこのような投資に対して一つ気をつけておかなければいけないことがあります。
 それはどんな企業でも安定して成長していくことはない、
 ということです。
 中国の経済情勢、SARSや鳥インフルエンザのような
 思いがけないアクシデント、
 企業でも製品の開発時期、収益を回収できる収穫時期、
 その他モロモロの出来事の中で企業は発展していきますので
 成長の波がないほうがおかしいのです。
 日ごろ毎日の株価の動きを見ていて収益動向を短期で判断していると
 売却したくなってくる時があります。
 また証券会社の人に銘柄入れ替えなどで誘いがあると
 グラッとくるときもあるでしょう。
 その時は長期的な見通しでの投資を
 再確認(認識)する必要があります。
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