第208回
国有銀行の改革と結果
中国は最近中国銀行と中国建設銀行に
両行併せて450億ドル(約5兆円)のお金を資本注入しました。
ですが、両行は再度追加支援を国に求めています。
金額は両行合わせて300億元(約3900億円)です。
中国の不良債権問題は「歴史の負担」とも言うべきもので
今まで銀行が国有企業に貸し出していたものが
不良債権となってきていました。
最近のことでは、
上海の銀行員の貸付に関する融資に不正があるのではないか、
として現在調べを受けている上海支店長の例からも分かります。
80年代の上海支店長時代に某企業に貸し付けた
28社の融資契約のうち26社が不良化しており、
残りの2契約も期限が来てはいませんが、
今後不良化になる可能性があります。
特に過去のケースでは過剰融資が問題視されています。
このようになる背景には責任意識と危機感の欠如があります。
つまり今さえよければ後はどうなろうと知ったことではない、
という考え方です。
このような人達が自分の地位と権力を使い、
汚職を行い自分の懐を肥やしてきていました。
中国政府はこのようなことに危機感を募らせており、
必死に対峙しようとしていますが、なかなか難しいのが現状です。
中国はつい最近まで賄賂が幅を利かせていました。
またそのようなことに関して国が考え方を変えよう、
と大きな声を張り上げていましたが
今までは掛け声だけで終わっていました。
ですが、今後中国でもこのような事がまかり通らなくなります。
中国は今後も銀行不良債権問題に関して本腰で考えてきています。
なぜなら中国が安定した発展をしていくには
銀行改革が欠かせません。
もし、外資の銀行に中国の銀行が負けて
乗っ取られるようなことになったら
中国は中国であって中国でない
経済の中心部を外資に握られるようになります。
中国はこれを望んでなどいません。
基本的には銀行問題が解決した後には
本格的な中国の通貨「元」の開放に対して
現実化していくことになります。
この点でも銀行の不良債権問題が
非常に大事な意味を持っています。
中国の温家宝首相の顔つきを見ると
この問題に対して並々ならぬ決意で望んでいることが分かります。
ですが、大事なのは結果です。
言葉ではなんとでもいえます。
決意があるのは分かりました。
ですがいくら決意があったとしても結果が伴わないとダメです。
すべては結果がものをいいます。
今後温家宝首相がどこまで成果を挙げられるのか、
いずれ結果が出てきます。
それは今後も慎重に見ていかなければいけないことで、
経済改革と投資は深い関係があります。
改革できないようならば、
投資でも考え方を変えていかなければいけません。
ここまで書くと
中国の投資に対して不信感を持つ人がでてくるかもしれませんが、
実際の今の中国経済は大丈夫です。
ただ投資に関しては
投資する国の成長をシビアに見ていく必要があるのです。
大事な個人資金を投資するのですから。
今後結果が良い方向に行った時には
投資家は大きな成果を授受できる立場にいるのですから。
今後中国が安定した経済発展を遂げていく時には
中国企業もそれに伴い成長していきます。
そこに中国株投資の意義があります。
今回行なわれた第十期全国人民代表大会の日程です。
5日 開幕式、政治活動報告
6日 馬凱・発展改革委主任演説
金人慶・財政相演説
8日 王兆国・全人代副委員長が憲法改正案を説明
10日 全人代委員長、最高人民法院長らが演説
14日 閉幕式・温家宝首相会見
|