服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第980回
クリームパンの美味しい食べ方

クリームパンはお好きですか。
バゲッド、パン・ド・カンパーニュなど
ハイカラなパンに親しんでいる方は、
あるいはご存じないか。
私などにとっては
むかし懐かしいパンのひとつです。

ちょっと手袋に似た形のパン。
でも、よく見ると、
1本、2本、3本、4本に分れているのですが、
見たところふつうのパンですが
中にクリームが入っている。
というよりもあのグローブのような形を見ると、
ああクリームだと、
分る仕掛けになっているわけです。

クリームパンが生まれたのは
明治37年(1904年)といいますから、
100年以上前のことです。
当時本郷にあった
「中村屋」の相馬愛蔵が考案した。
もちろん今は新宿に本店があります。
ある時、相馬さんがシュークリームを食べた。
これがすこぶる美味かったので、早速パンに応用した。
いやパンばかりでなく、ワッフルも作ってみた。
つまり最初はクリームパンとクリームワッフルの
2種類があったわけですね。
それはともかくクリームパンの源は
シュークリームだった。
道理でクリームの状態が似てますね。

ところでどうして
相馬さんが自分ではじめたのに、
「中村屋」なのか。
これは明治34年に、相馬さんが
「中村屋」というパン屋をそっくり買い受けて、
屋号をそのまま使ったからなのです。
家から店から使用人まで付いて、
全部で700円であったという。
ここでひとつ注目されたのは、
「中村屋」の開業日。
明治34年12月30日。
年の瀬、12月30日に開店するというのも
ちょっと面白いではありませんか。

さて、目下私の好きなクリームパンは
「パンヤ コット」(TEL:046-873-7651)のもので、
一個130円なり。
色も形もオーソドックスですが、
味のほうはしっかり大人向きなのです。
午後のお茶うけにも最適だと思います。
クリームパンが美味いというと、
レトロな店を想像するかもしれません。
でも「パンヤ コット」のパン・ド・カンパーニュは
絶品という不思議な店なのです。


←前回記事へ 2005年12月23日(金) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ