服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第889回
シャネル成功の秘密

「シャネルの5番」を知っていますか。
“シャネル・ナンバーファイブ”
“ヌネロ・サンク”とも呼ばれます。
世界でもっとも良く知られた
香水の銘柄であるかも知れません。
ひとつにはマリリン・モンローの名科白も
影響しているのでしょう。

ココ・シャネルが後に有名になる
この香水を発表したのは、
今からざっと90年間の1922年のことです。
パッケージもボトルも、
基本デザインにほとんど変更がないのは、
ひとつの奇蹟と言って良いでしょう。
<<もっとも美しいものは、
  もっともシンプルなものである>>

というのがシャネルの考え方で、
その考え方を徹底的に追求したのが、
「シャネルの5番」であったのです。

香水を調合したのは、
当時名調香師と謳われたエルネスト・ボオ。
彼の秘中の秘の調合は内外不出であった。
けれども、E・ボオはシャネルの人間性にふれて、
特別に提供したものです。
いくつかの試作品のなかから、
シャネルが選んだのが、
5番目のものであったと伝えられています。
また一説にはシャネルは常に
「5」をラッキー・ナンバーだと
信じていたとも言われています。

香水だけでなく
シャネルの画期的なスタイルは
多岐にわたっています。
ジャージー、ブレザー、シャネル・スーツ・・・。
これらが今なお愛用される理由は、
シャネル自身が実験台となっているからです。
シャネルが偉大であったのは空理空論でなく、
実際に自分が必要だ思ったところに
想を得ているからでしょう。

昔、シャネルはリッツ・ホテルに住み、
ここからカンボン通りまで歩いて店に通った。
冬の朝などは寒いので、
なにか暖かい靴が必要だと思った。
そこで当時は非常識とされた
女性用ブーツを発表して、
たちまち多くの人たちに受け入れられたのです。
自分が、何が欲しいかと思うかが出発点だったのです。

ガブリエル・シャネル(1883〜1971年)は、
明日、8月19日、
南仏オーヴェルニュに生まれています。


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