服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第885回
温故知新のふんどし考

今、静かに売れているものがあるのを知っていますか。
それは洋風ふんどしなのだそうです。
たとえば銀座三越では入荷待ちの状態とのこと。
「洋風ふんどし」は
私が勝手に名づけたものですが、
とくにチェックや花柄に人気が集っています。
かたちは日本、色柄は西洋風、
つまり和魂洋才のふんどしといったところでしょうか。

ふんどしも大きく分けて3種あります。
六尺ふんどし、もっこふんどし、そして越中ふんどし。
今人気があるというのは、
越中ふんどしなのです。
野暮を承知で説明すると、
細長い布の一端に細紐が付いていて、
この紐を腰に結んで、
後から垂らした布を紐に通して前に拡げる。
シンプルといえば
これほどシンプルな構造の服(下着)も
ちょっと無いのではないでしょうか。

けれどもシンプルな下着としては
その機能性まことに高い。
まず第一に自由自在のフィット性は不思議なほどです。
これは一度試してみる価値はあると思います。
第二に、涼しくて、心地良い感触があります。
第三に清潔そのもの。
なにしろ1枚の布ですから、
洗濯した後アイロンでシワを伸ばす。
これは当然、高温殺菌にもなるわけです。
もう一度、和の知恵を見直すべきではないでしょうか。

ただしすべての服装に
ふんどしが最適であるとは思いません。
たとえばブルー・ジーンズに代表される
細身のパンツには合わないかも知れない。
けれども浴衣には
ぴったりのアンダー・ウェアでしょう。
もちろん甚兵衛や作務衣などの
ゆったりとした和風のカジュアル・ウェアにも
よく似合います。

かつてのふんどしは晒木綿を使って、
家庭で手作りにしたものです。
実際、作るというのが恥かしいほどに、簡単。
端を直線縫いにして、
紐を付けるだけのことですから。
もし余分な布があったら自分で作ってみませんか。
コットンばかりでなく
麻でも良いし、絹でも良いし。
目には見えないところに
絹のふんどしなんて
とってもおしゃれなことだと思います。


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