服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第708回
新・アスコット論

アスコット・タイは何枚持っていますか。
ネクタイは1本2本と数えますが、
アスコット・タイは
やはり1枚2枚と数えたほうが
良いのではないでしょうか。
アスコット・タイは本来礼装用ですが、
それを現代的にしたものが
“スポーツ・アスコット”です。
「アスコット・スカーフ」と
呼ばれることもあります。

礼装用であろうとカジュアル用であろうと、
私はもっとアスコット・タイを
使って良いのではないかと思います。
たとえばごくふつうにシャツにタイを結ぶように、
アスコット・タイにしてみる。
もちろんダーク・スーツであり、
通常のダブル・カラー(並襟)に結ぶ。
そんなおしゃれの仕方があっても
良いではないでしょうか。
やわらかいシルク地で、
水玉やペイズリー柄などの古典柄が
中心になるはずです。

さて、その結び方。
ネクタイ同様、襟の内側に通して、
左右の長さがほぼ同じ位になるようにします。
最初に軽く一度結びます。
今度は結ぶ方向を変えて、もう一度結ぶ。
襟元の結び目が小さな筒状になるようにするのです。
次に左右の幅広い部分を裏返して、
小さな筒状の結び目を覆うようにする。
つまり結び目に量感を出しつつ、
左右を交差させる。
で、その中心点をピンで留める。
以上で完成です。
もし適当なピンがない場合には、
一般のネクタイ留めを応用する方法もあります。
余談ですが、アスコット・タイも正しくは
「右前(みぎまえ)」になるよう重ねるべきなのです。

これでアスコット・タイの扱い方を
ほぼマスターしたことになります。
スカーフのようであり、またネクタイのようでもあり、
面白いものです。
もし、そう考えたなら、
なにも襟の上からだけでなく、
首元に直接結んでも良いでしょう。
たとえばスポーツ・シャツの内側に、
アスコット・タイを正しく結んでみる。
ピンで留めてあるのでゆるむこともなく、
ある程度自由にボリューム感を演出できる点でも
優れていると思います。
たぶんもう一枚、
アスコット・タイが欲しくなってくるはずです。


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