服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第631回
夏至の夜の眠り

いつも眠りは深いほうですか。
私の場合、その深浅よりも、少々時間が長い。
大人にしてはちょっと
睡眠時間が長すぎるのではと反省しています。

睡眠とは、写真における陰画と陽画の関係に
似ているのではないでしょうか。
ごく簡単に決めつけるのなら、
昼間よく活動する人ほど、
夜によく睡眠をとる。
より良く眠るためには、より良く動くべし、
という当り前の結論になってしまうのかも知れません。

けれども一般論はさておき、
やはり上手に眠るための技術というのも、
人それぞれにあるでしょう。
よく知られているところでは、
ラベンダーの香り。
ラベンダーの香りが
ごく自然に深い眠りに誘ってくれるというものです。
ラベンダーのポプリもあれば、
ラベンダーの香料もある。
さらにはラベンダーの枕さえあれば、
いつでもどこでもすぐに寝られる、という人もいます。

たしかに香りは一面、
自己催眠の効果もありますから、
有効な手段です。
自分の心のなかである特定の香りと
入眠とを結びつけておけば良いわけです。
一例をあげれば
「イリス」(エルメス)の香水に熟睡効果がある、
と信じている女性を知っています。
なにかひとつ、自分用の眠りの香りを持っておくのは、
賢い方法でしょう。
香りも眠りも結局のところ
イメージと深く係っているわけですから、
その部分を上手にコントロールすれば良いわけです。

ヴィバルディ、ジン、スラトニン・・・。
おそらく入眠儀式は人間の数だけあるのでしょう。
要するに、なにかの儀式
明確に眠りと結びつけておくことです。
これで深い眠りが確保されるでしょう。

でも、それでも眠れない時は、
起きていましょう。
身体が眠りを必要としない。
もしくは少しの睡眠で
たくさん活動ができる効率の良い体質なのですから。

そしてミステリを読みましょう。
もしかすればミステリ通になれるかも知れませんよ。


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