服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第624回
真夏に話したいエピソオド

もしも夏に帽子を被るなら、
どんなスタイルが良いと思いますか。
夏の陽差しは強く、
とても帽子なしで炎天下を歩く気にはなれません。
でも、いくら涼しい帽子を見つけたとしても、
時と場合によっては、
首筋に直射日光が当って、
暑い思いをさせられることがあります。

ところが実に良いものを見つけましたので、
報告します。
「ネックサンシェイド」。1,800円也。
玉川高島屋の「フォックスファイア」
(TEL:3709-2158)で見つけました。
コットン100%のメッシュ地で、
帽子に簡単に取付けることができるのです。
クリップで留めるだけですから、
たいていの帽子に付けることが可能。
光線は防ぎ、風は通すというところが
グッド・アイディアだと思います。
もちろん不要の時には畳んでしまえば
ハンカチほどの大きさになりますから、
ほとんど邪魔にもなりません。
色も白、ベージュ、黒などが用意されています。

けれども帽子に添えて、
なんとか首筋を涼しくしたい、
というのは今にはじまったことではありません。
1850年代のインドではじまったそうですから、
たいへんに古い。

1857年、イギリス軍が
インドを制圧したことがあります。
有名なセポイの反乱です。
この時にイギリス軍の指揮をとったのが、
サー・ヘンリー・ハヴロック(1795〜1857年)であります。
同じ年の9月、ラクノーを解放した。
この時、ハヴロックは兵士に白い布を与えて、
軍帽の後に垂らすように命じました。
暑い国の暑い時期に闘う時、
イギリス兵の弱点をよく知っていたからです。
少し極端にいえば、イギリス軍は
この一枚の白い布のために勝利したのです。

この白い布は、のちのちまでも
世界各国の軍隊で採用されることになりました。
そして今でも、この帽子の後に付ける、
専用の垂(た)れのことを、
サー・ヘンリー・ハヴロックに因んで、
“ハヴロック”Havelock と呼ばれるのです。
人は死んで名を残す一例であります。


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