服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第437回
懐中時計のおしゃれ

今回は、日ごろご愛読下さっている
読者の 佐々木 様から
ご質問メールをいただきましたので、
ご回答を掲載させていただきます。


■佐々木 様にいただいたメール

出石 様

「男はカッコ」のコラム、
いつも楽しく拝見しております。
ところで私、この間、あるアンティークショップで、
手巻きの懐中時計を手に入れました。
時計のネジのところの輪っかには、
黒い編みひもが付いており、
すごく気に入っております。

ところが、いざ身に付けてみようと思うと、
どのようにすればさまになるのかと迷ってしまいました。
昔、スーツのベストのポケットから出しているような光景を
どこかでみたような気がするのですが、
定かではありません。

しかし、私にはベスト付きのスーツもなく、
ベルトにひもを通してパンツのポケットに入れたものか、
ひもを無視して、上着の内ポケットにでも入れたものか。
どちらにしても、さまになるようなならないような。
やはり、現代にはマッチしない時計なのでしょうか。

どうか、懐中時計のさまになる付け方をご教授ください。


■出石さんからのA(答え)

いつもご愛読下さり、
ありがとうございます。
また、ご丁寧にもお便りを頂きましたことにつきましても、
感謝申上げます。

手巻きの懐中時計を入手されたようですね。
どうか機械式の時計ですから、
いつまでも大切にして下さい。
これは懐中時計に限ったことではありませんが、
機械式時計は1日1回、
決った時間にネジを巻くのが理想です。
それも腹八分目位に巻く。
あまり強く巻きすぎて、
ゼンマイを切る場合もあります。

使わない時は湿度の低い場所、
ほこりの少ない場所、
磁力の少ない場所に保管することをおすすめします。
それでも2、3年に一度は
専門家に点検してもらうほうが良いでしょう。

ササキ様がご指摘の通り、
懐中時計の収納場所は
むかしからベストのポケットが一般的でした。
でもベストを着ないから、
懐中時計の活躍の場がない、
と決めつけたものでもありません。
たとえばジーンズに懐中時計という組合わせも面白い。
ジーンズのベルト・ループに紐をからめて、
右脇の小さなポケットに入れておくのです。
あの小さなポケットは“フォブ・ポケット”。
つまり懐中時計を入れるための場所であったのです。
今はコイン・ポケットと称して
小銭を入れたりするようですが。

もちろん上着に懐中時計をあしらうことも可能です。
ラベルの襟穴を利用する。
襟穴に紐を通して、
懐中時計本体を胸ポケットに入れる。
これもむかしからの正統的な懐中時計の使い方のひとつで、
なかなか格好のいいものです。
私自身も時どきこのやり方をすることがあります。
あるいは上着のボタンにからめて、
右ポケットに入れる方法もありでしょう。
右手で扱いやすい場所に収納するのが原則となっています。

佐々木様の懐中時計は
ハンター式(ふた付き)ではないようですが、
その場合には必ず風防ガラス面がポケットの中で
内側に向くように置いて下さい。
万一の場合、ガラス面を傷つけずにすむからです。


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