服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第422回
アーガイル・スェーターと友達になろう

アーガイル柄のスェーターを着たことがありますか。
アーガイルは多色使いの、
斜め格子柄のものですね。
時にダイア模様と表現されることもあります。
スェーターばかりではなく、
ニット・ヴェストやカーディガン、
ソックスの柄などにも採用されることはご存じの通りです。

“アーガイル”Argyllは
スコットランド西部の州名、
アーガイルシャーに因んだ名称だと考えられています。
と同時に“アーガイル”は貴族名でもあるのです。
むかしスコットランドで
強い力を持っていたキャンベル一族というのがあった。
これをクラン(氏族)と言ったのです。
クラン・キャンベルというのを
どこかで耳にしたことがあるでしょう。
このキャンベル家の貴族名が、アーガイルなのです。
初代アーガイル伯爵は
15世紀にはじまっているとのことですから、古い。

それはともかくとして今のアーガイル柄は
タータンの一種として出発しているんです。
つまりタータンの生地を
バイアス(斜め地)に使った様子を
編地で表現したのが、
アーガイル柄なのです。

アーガイル・スェーターを上手に着こなすには、
まずその柄をよく見ることです。
ベース・カラーは何か、
アクセント・カラーは何か。
仮にダーク・グリーンがベース・カラーであり、
明るいイエローがアクセント・カラーだとしましょう。
この場合にダーク・グリーンのパンツに
イエローのスポーツ・シャツを組合わせてみる。
おそらく全体として、
まとまりの良いコーディネイションとなるでしょう。

アーガイル・スェーターだけに限らず、
多色使いの、いかにも難しいそうな服を組合わせる場合には、
この色分解法は役立つはずです。
逆にいえば色分解法さえ知っていれば、
どんなに大胆で、どんなに複雑な色彩のものでも、
スマートに着こなせるわけえす。
とにかく全体の統一感を大切にすることが、
おしゃれの近道なのです。
これでもうアーガイルはあなたの親友になってくれるでしょう。


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