| 第397回タイとベストの美しい関係
 今回は、日ごろご愛読下さっている読者のshigeo kakudou様から
 質問メールをいただきましたので、
 ご返答を掲載させていただきます。
 
 ■shigeo kakudou 様にいただいたメール 出石先生、いつもコラムを楽しく拝見致しております。
 先日、ベストの着こなし術のひとつとして、
 ベルトのバックルをベルトループ1つ分左へずらすという
 コメントを拝見し、
 いたく感動致しました。
 ところで、ネクタイとベストを合わせる際、
 ベストの下から覗くネクタイの剣先の
 取り扱いはどうすればよいでしょうか?
 御指導よろしくお願い致します。 shigeo kakudou 
 ■出石さんからのA(答え) ご丁寧にお便りを下さり、ありがとうございます。
 また、いつもご愛読頂いていることにつきましても、
 重ねて御礼を申上げます。
 ベストの着こなし方についてお答えします。シャツにネクタイを結び、
 その上にベストを着ると、
 たしかに下からタイの端がのぞくことがあります。
 結論から言いますと、
 これはおしゃれマナーのルール違反ということになります。
 つまりベストの下からネクタイをのぞかせてはならないのです。
 ネクタイ以前に、シャツをのぞかせている人さえいます。
 シャツを着、パンツを穿く。
 そしてベストを重ねる。
 最初のうちはともかく、
 そのうちにベストとパンツの間から、
 シャツがはみ出てしまう。
 これは大きな間違いです。
 ベストとパンツは可能なかぎり
 一体感を表現することが、
 着こなし上手につながるのです。
 これはそもそもどこに問題があるのか。ひと言で言えば
 “トラウザーズ”と“パンツ”の違いなのです。
 男たちが皆、スリーピース・スーツを着た
 1930年代以前には“トラウザーズ”であった。
 けれども今は“パンツ”が主流になっているからなのです。
 “トラウザーズ”と“パンツ”のもっとも大きな違いは、股上の深さ。
 むかしのトラウザーズは今よりも
 はるかに股上が深かったのです。
 ところが時代とともに股上は浅くなって、
 ついに今日のような軽快でスポーティーな
 パンツの形になったのです。
 トラウザーズはまず例外なくサスペンダーで吊り、
 ベストとの重なり部分はかなり大きかった。
 少なくともワイシャツがのぞくようなことはなかったのです。
 ネクタイも実は今よりも短く結んでいました。
 さて、以上のような背景はさておき、実際にネクタイの端を
 見せないためにはどうすれば良いか。
 ひとつの方法は、タイの端をパンツの中に入れておく。
 あるいは端の部分で折返して、
 ベストの内側に畳んでおく。
 こうすればよりすっきりとして
 スマートな着こなしが出来るでしょう。
 今後ともなんなりとご質問下さいますよう、
 お願い致します。
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