服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第372回
古き良き時代の秘密の味

納豆はお好きですか。
もちろん喜んで食べるほうです。
一般に納豆は関東人が好み、
関西人は好まない、という説があります。
私、生まれは関西ですが、納豆は好きです。
これだから一般論はアテにならない、
と強弁するつもりではないのですが。

市川に「夏秋武蔵屋」という酒屋さんがあります。
ある時、偶然この酒屋さんで、
「塩熟納豆」というのをすすめられたのです。
で、家に帰ってこれを食してみると、絶品。
まったく生まれてはじめての食感であり、
はじめて経験する美味であったのです。
しかも実に応用範囲が広い。
飯に合わせても良し、豆腐に合わせて良し、
卵焼きに合わせて良し。
なにも酒屋さんで買ったからというのではないのですが、
酒に合わせるに良し。

「塩熟納豆」は私が知らなかっただけで、
実は、むかしながらの山形の郷土食の
ひとつであるらしいのです。
「タチナガハ」という種類の大豆を使って、
文字通り塩で成熟させる。
こうしておくと長い冬の間にも
保存食として貯えができたのでしょう。
これはもうすでにして完成品ですから、
容(うつわ)から出して口に運ぶだけで良ろしい。
これもまた私の気に入っているところなのです。

塩熟納豆、これは良いものを見つけた。
美味いし、便利だし、何にでも合わせられる。
ところがナント、東京では売っていない。
マサカ!なのですが、本当らしい。
200g入っていて250円なら毎日でも食べたいのに、
口惜しいではないか。
東京にもないものがあるんですね。

もちろん、「夏秋武蔵屋」には売っています。
それから今の時代ですから、
インターネットを通じて買うこともできます。
メーカーは「信州自然王国」で、
発注などについては(TEL:0265-21-7030)で問合わせも可。
ついでながらアドレスは
http://www.rakuten.co.jp/otodoke-net/ です。

塩熟納豆、ぜひ一度食べてみて下さい。
彼はコレを食べて、あんなにも騒いでいるのか、
と話題のひとつにもなるでしょう。
その私、今、コレに何を合わせようか、目下研究中。


←前回記事へ

2003年10月9日(木)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ