服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第353回
ウエスタン・ブーツ履いてみませんか

ウエスタン・ブーツを履いたことがありますか。
実は私、いつもごく普通に
ウエスタン・ブーツを履いています。
いつだかタキシードの足もとに
エナメルのウエスタン・ブーツを合わせたことがあるほどです。
ということはシャツにタイを結び、
スーツを着るときも当然、ウエスタン・ブーツ。
まあ、これはちょっと特殊な例であるかも知れませんが。

ウエスタン・ブーツといえば
誰もがカウボーイを想像するでしょう。
そしてさらには西部劇に登場するウエスタン・ブーツを。
もちろんそもそもの生い立ちからいえば、
苛酷なカウボーイの生活から生まれた
必需品であったでしょう。

でもファッションの立場から眺めると、
もうひとつの別の面があるのです。
ウエスタン・ブーツのひとつの特徴に
適度なハイヒールがあります。
通常の男の靴にくらべてヒールが高くなっている。
これは一説には、馬に乗る時、
アブミに対するストッパー役だと考えられています。
また足でロープの端をとらえる時にも役立ったそうです。
それはともかく、
この適度なヒールの高さが
姿勢を正しくするきっかけを作ってくれます。
きちんと背筋を伸ばし、
頭のてっぺんを空につき刺すような気持になるのです。
言い換えれば、ウエスタン・ブーツには
まっすぐな、直立の姿勢が似合う。
また、そのほうが実際歩きやすいのです。
そもそもウエスタン・ブーツは
足首全体を包んでくれるので、歩きやすい。
靴が脱げそうになったり、
足で靴をひっぱるような感覚とは無関係だからです。

パンツの裾口と靴の上部とが干渉することもなく、
より美しいシルエットを保ってくれます。
足首を保護して、温かくもある。―
こう考えてくれば
むしろ大人にこそふさわしい靴であることがお分りでしょう。

ディズニーランド近くの
「ファニー」(TEL:047-305-5711)では
ウエスタン・ブーツが揃っています。
この店は私にとってのウエスタン・グッズの
ディズニーランドなのです。


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2003年9月20日(土)

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