第345回
チョッキを主役にしてみよう

ふだんからよくチョッキを着るほうですか。
チョッキ、ヴェスト、ジレ、
ウェイストコートなどの呼び方もあります。
たとえば三つ揃い背広の場合には、
好むと好まざるとを問わず、
最初からセットとして組み込まれています。
「今はもうスリーピース・スーツなんて古いんじゃないか」
そんな感じを持つ方もいらっしゃるかも知れません。

でも、私はここでチョッキの復権を提唱したいのです。
もう少し具体的にいえば、
チョッキを準主役とした着こなしのこと。
チョッキはなにか上着に対して脇役の印象があるのですが、
もっと主役であるかのように着こなしてみませんか。

シャツにネクタイを結び、チョッキを重ねる。
この場合、必ずしも白無地のシャツではなく、
ブルー系統のシャツを選んでみる。
つまりチョッキとシャツの色系統を揃えるわけですね。
まったく同じチョッキであっても、
シャツの色を変えることによって、
より上着風の、より主役風の着こなしが
演出できると思います。

チョッキの前ボタンは、
ふつう６個ということが多いようです。
で、この一番下のボタンはわざと外しておくのが、
おしゃれだということはご存知ですね。
５個であろうと７個であろうと、
一番下のボタンは外すのが習慣になっています。

ところで、チョッキを準主役として着こなす場合、
もう少し積極的にボタンを考えてみましょう。
たとえば一番上のボタンをひとつ外してみる。
あるいはもう１つ外してみる。
すると今までよりも、当然、胸開き部分が広くなって、
シャツもタイもよく多くのぞくようになるはずです。
これもまたチョッキを準主役にするための、
ひとつのテクニックであるかも知れません。

もう一度、スリーピース・スーツの中で
眠っているかも知れないチョッキを
探してみることをおすすめします。
チョッキを準主役とするわけですから、
パンツと同一でなくても構いませんよ。
でも、最初は無地物から始めるのが無難でしょう。