服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第262回
もう少しで手がとどく夢

もう『アバウト・シュミット』を観ましたか。
遅まきながら私も観てきました。
観たい観たいと思いながら、
やっとそれが果せました。
アレクサンダー・ペイン監督、
ジャック・ニコルソン主演の映画
『アバウト・シュミット』のことです。

ある男の定年退職後の物語。
ひと言でいえばそういうことになるでしょうか。
その男の名前がウォーレン・シュミットなのです。
まったく身につまされる物語です。

それはともかくとして
この映画にはもうひとつ主役が登場します。
キャンピング・カー。
退職後、キャンピング・カーで各地を旅するのです。
キャンピング・カー、いや正しくは
モーター・ホームと呼ぶべきでしょうか。
大型バスくらいのサイズですから、とにかく大きい。
サイズだけでなく、下手なマンションより
はるかに設備が整っています。
「ウィネベーゴ・アドベンチャー」というのが、
そのモーター・ホームの名前なのです。

もうこの辺りでお分りでしょうが、
最初、私はこのモーター・ホームが観たかったのです。
映画を観た後で、J・ニコルソンの演技にも感動しましたが。

今、私はモーター・ホームに興味を持っています。
もしリタイアしたなら、こんなモーター・ホームを手に入れて、
一年中、日本の隅から隅まで旅したいのです。
夏になれば北のほうへ、冬になれば南のほうへ。
桜前線を追って移動するなんていうのもいいですね。
フェリーで渡れば北海道へも行けるし、
沖縄でソーキそばを食べることもできるでしょう。

モーター・ホームで一年中度を旅をつづけるのは私の夢です。
もちろん夢は誰にだったあるでしょう。
そして夢を思い描く時の姿勢が大切です。
夢はしょせん夢さ、と思うのか。
それともぜひとも実現させたい夢と思うのか。
私のモーター・ホームは単なる夢で終らせたくないのです。
もう少しで手が届く夢だと思いたいのです。
だってそのほうが楽しいし、
また実現に一歩近づくための近道だろうと、思うからです。


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2003年6月12日(木)

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