| 第219回優雅なお香の効用
 お香を使ったことがありますか。私はどういうわけか若い頃からお香が好きで、
 「なんだが年寄りみたいだなあ」と言われたりしたものです。
 たしかにむかしは古臭い趣味といった感があったかも知れません。
 ひと口に「お香」と言ってもさまざまな種類があります。一本の細い線に仕上げたもの、渦巻き状のもの、
 あるいは小さな三角柱形に固めたもの。
 さらには練香と呼ばれるワックス状のものもあります。
 誰もが一番使いやすいものは、
 やはり線香かも知れません。
 それは良い匂いが漂うだけでなく、
 一定の時間で短くなってゆく。
 江戸時代には線香を時計代りに使ったことさえあるそうです。
 もちろん難しく考えてゆくと「香道」などもあるわけで、かなり奥の深いもののようです。
 でも、私たちがごくふつうに生活のアクセントとして使うには、
 たいへん安上りで、またおしゃれなものです。
 よく探すとお香専門店というのがあります。あるいは書道用具店で置いてあることもあります。
 また最近では百貨店でも並べるようになっています。
 私はたいてい銀座の鳩居堂をのぞいたりするのです。
 香水売り場の前に立った時と同じように、お香の種類が多すぎて何がなんだか分りません。
 値段もピンからキリまでがあります。
 でも予算に合わせてまずは一箱買ってみましょう。
 一箱数千円で、一箱あれば
 いつ買ったのか忘れてしまうほど保つものです。
 香りの種類と成分を尋ねて、参考にするのも良いですね。
 あとはもうお香立てとマッチさえあれば、なにも要りません。デスクでも手紙や日記を書こうとする時に、お香をくゆらせる。
 よい香りがよい気分にさせてくれます。
 またお香に火をつけるさりげない動作が、
 生活のメリハリをつけてくれる利点もあるでしょう。
 あるいは少し暗くした部屋で、お香とともに沈思黙考をすると、
 思わぬ名案が浮んだりするものです。
 来客の際にお香をくゆらせる方法もあります。
 さあ、お香を楽しんでみましょう。
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