服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第201回
あまりにも美しい卵焼の姿

たまご焼きはお好きですか。
たまご焼きを嫌いという人はまずいないでしょう。
もちろん私も大好きです。
というより私の場合、玉子を使った料理はすべて大好物。
たまご焼きは正しくは「卵焼」
もしくは「玉子焼」と書くようですが。

たまご焼きにもいろいろ種類があるようで、
厚焼き、薄焼き、だし巻・・・。
ここでは一応、厚焼きを想定するとしましょう。
れっきとした大人だって、たまご焼きには目がないものです。
日本酒を傾けながら厚焼き玉子を頼んだりするではありませんか。
いや、私も実はよくやっております。

料理屋ではたいてい厚焼きにおろしを添える。大根おろし。
で、皿が来るとすぐにしょう油をかけて、
無造作に食べはじめる人がいますね。
まあ、自分が頼んだたまご焼きを
どんなふうに食べようが勝手かも知れませんが。

でも、私はたまご焼きの食べ方ひとつにも
正しさがあると思います。
焼き上がったばかりの厚焼きは熱い。
熱いけれど、まずひと口食べてみる。
もちろんしょう油をかける前に。
もしかすれば、しょう油をかけないで、
そのまま食べたほうが、
美味しい場合だってあるかも知れません。
味はあとから足すことは出来ても、
引くとは出来ないのですから。

最初にひと口食べてみて、
少し味が足りないかなあと思ったなら、
はじめてしょう油を少し加える。
この時、私はたまご焼きそのものにかけるのではなく、
おろしの上に少しだけかける。
で、ひと口大に箸で切ったたまご焼きを、
おろしじょう油にからめるようにして食べる。
もちろんこれは好みの問題でしょうから、
強制するつもりはありません。
でも私は勝手にこのほうが美しい食べ方だと信じています。

漬物でも最初からしょう油をかけるのは野暮です。
美しい食べ方ではありません。
まずひと口食べてみて、少しづつ味の変化を楽しむほうが、
はるかに素敵なことではないでしょうか。


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2003年4月12日(土)

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