服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第199回
美しいスパゲティの食べ方

スパゲティを食べるとき、フォークで食べますか、
それともフォークとスプーンとで食べますか。
私の場合は、フォークだけで食べることが多いようですね。
スパゲティは自分でもよく作りますよ。
スパゲティだけでなく、パスタならなんでも大好きです。
なかでも「リングイーネ」という、
細いけれど少し平たい麺が好きです。
ニンニクとトウガラシだけの、
ごく簡単なパスタ料理なら毎日でも大歓迎です。

たいていの日本人は、パスタ類よりも先に、
そばやうどんを経験する。
それでつい、うどんもパスタも同じ麺類ではないか、
と思ってしまうのですね。
でも、うどんは日本のものであり、パスタは西洋のもの。
このふたつはまったく異なる文化から生まれた麺だと
考えなくてはなりません。

なにが言いたいのか。
スパゲティをはじめとするすべてのパスタ類は
けっしてすすって食べてはいけない、ということです。
うどんもそばも勢いよくすすって食べて良いことになっています。
これは純日本的な考え方。
一方、スパゲティは絶対にすすって食べてはいけない。

今さら言うまでもないことですが、
フォークでスパゲティを少量まきつけ、
そのまきつけた部分だけを口もとに運び、それを食べる。
こうすればすする必要などまったくないのです。
まず第一に、ごく少量まきつけること。
第二に、それを口もとまで運ぶこと。
なぜなら、こうすることで落ちるべきは皿の上に落ちますし、
背筋を伸ばした美しい姿勢で食べることができるでしょう。
もし、スプーンを使ったほうがまきつけやすい、
というならそれもひとつの方法です。
とにかくパスタ類はすべて、絶対にすすってはなりません。

さて、問題は残り少なくなったパスタ類。
最後、2、3本はまくことができません。
こんな時には、適量のパンを左手に持って、
右手のフォークではさむようにすれば、
簡単に、スマートに食べることができるでしょう。


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2003年4月10日(木)

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