第163回
ネクタイは最低3本用意しましょう
フレッシュマンは最低何本のネクタイを
用意しておくべきでしょうか。
ひとつの着こなしのなかで締めるネクタイは1本に決っています。
けれどもたった1本だけというわけにもいかないでしょう。
第一、毎日同じネクタイを結ぶのは、
生地の傷みを早めることになります。
10本、20本、30本・・・
もちろん多ければ多いほど良いことも言うまでもないでしょう。
さらには個人差もありますから、
一方的に何本持つべしと決めつけるのは
無意味であるかも知れません。
でも私はあえて申します。
フレッシュマンは最低、3本のネクタイを持つべきだと。
ではなぜ3本なのか。
3本のネクタイを交互に使えば
約二日間は1本のネクタイを休ませることができるからです。
もっと別の言い方をするなら、フレッシュマンこそ、
量より質を考えるべきだと強調したいのです。
安手のネクタイ10本持つよりも
同じ予算で上質のネクタイを3本持つほうが、
はるかに賢い選択となるでしょう。
安価なネクタイは結目がゆるみやすい。
だからどうしても強く結ぶ結果となり、
生地が傷みやすいのです。
つまり良質であればあるほど
ゆるやかに結んでなお、ゆるみにくいのです。
ゆるやかに結んで結目が保てるということは、
ソフトな、美しい仕上がりになるわけです。
そしてまた、ゆるやかに結ばれたネクタイは
休ませることによって、回復が早い。
つまりネクタイは最低3本あれば良い、
というのは必ずしも強がりではないのです。
では、良質のネクタイとは何か。
これは上質の絹地が使われているもの、
ということになります。
あらゆる布地と同じように、自分の指先でさわってみて、
その良し悪しを判断する以外に方法はありません。
でも何百本か、何年間か、ずっとさわりつづけている
必ず分るようになります。
時に、両端を左右の手で引張ってみる方法もあります。
もしこれで生地の表面がよじれなければ、
正しく裁断されていることの目安になります。
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