服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第131回
毛皮の帽子を被ってみませんか

毛皮の帽子を被ったことがありますか。
当然のことですが、毛皮の帽子は実に温かいのです。
ロシアをはじめ寒い地方の人びとが
毛皮帽を被っているのは、単なる習慣ではなく、
必要不可欠の防寒具であるからでしょう。
たとえばコサック帽などはその代表例です。

温められた空気が上へ上へと昇ってゆくのは常識です。
体温の20%は頭から逃げてゆく、との説もあります。
毛皮であるか否かはさておき、帽子を被らないで、
「寒い!」とふるえている人は私には理解の外です。
本当に寒い時にまず最初にするべきは帽子を被ること。
もしそれが毛皮帽ならより完全でしょう。
さらには耳を包むことができるようになっていれば、完璧。

ファー・キャップの場合、
端が幅広い折返しになっていることがあります。
これは折返しを浅くすることによって、
耳を隠しても良いというデザインなのです。

ところで帽子はもともと毛皮製だった、
と言えば驚かれますか。
世界でいちばん有名なのは
たぶんロンドンで目にするものでしょう。

バッキンガム宮殿の衛兵が被っているベアスキン・キャップ。
俗に“ビーフィーター”と呼ばれるのですが、
その創設は1485年というから古い。
少なくとも毛皮の帽子が昔からあったことは
想像できる一例でしょう。

今のシルク・ハットもはじめはビーバーの毛皮製だったのです。
男の帽子のためにビーバーが乱獲されて少なくなり、
その代用として特別な絹地が使われるようになったのです。

もちろん毛皮帽のなかには
ごくカジュアルなスタイルもあって、
たとえばデイビー・クロケット帽。
本来はクーンスキン(あらい熊)の毛皮で作られるので
クーンスキン・キャップとも言います。
アラモの戦いで有名なデイビー・クロケット(1786〜1836年)
が愛用したというのでその名があります。
これならジーンズにも合わせられるでしょう。
どうか毛皮帽で温かく、素敵な装いをして下さい。


←前回記事へ

2003年2月1日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ