服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第120回
スポーツ・ジャケット着こなしの基本

ツイードのスポーツ・ジャケットには
どんなパンツを合わせますか。
誰もがすぐに思いつくのは、
同じツイードの替ズボンでしょう。
ツイードの替上着にツイードのパンツはよく似合います。
ただし大胆な柄物の替上着には
無地調のパンツを合わせることは、すでにお話しましたね。

たとえばグレーのヘリンボーン(杉綾模様)柄の
スポーツ・ジャケットがあったとしましょう。
おそらく淡いグレーと濃いグレーとで、
杉綾模様が構成されているはずです。
この場合には濃いグレーに揃えた配色の替ズボンを選ぶ。
まずは文句なしのコーディネイトになるでしょう。

これまた一例ですが、
グレーの靴下に黒のスエードの靴を履く。
シャツやネクタイとの関連によっては、
赤やゴールドのウールの靴下を
アクセントにする方法もあります。

ではシャツとネクタイはどうするか。
スモール・チェック(小格子)のスポーツ・シャツを合わせる。
スポーツ・シャツの生地はコットン、
コットン・フランネル、コットンとウールの混ぜ織り、
あるいはウールなどから選びます。

もしスポーツ・シャツが
チェックなどの柄物である場合には、
無地調のネクタイを結ぶ。
シルクのニット・タイや
ウールのネクタイがふさわしいでしょう。
ただし色については
ささやかな冒険をしてはいかがでしょうか。
イエローやゴールド、
あるいはグリーンやヴァイオレットのネクタイは
素晴らしい効果をあげてくれるものです。

もちろん好みによってはチョッキを重ねたり、
ポケッチーフを胸ポケットにあしらったり、
さまざまなおしゃれが可能でしょう。
でも、スポーツ・ジャケットの着こなしの基本は
ネクタイを締めることにあります。
これが似合うようになってから、
少しづつ崩してゆきましょう。
なにごとにも物には順序があります。
まず基本をマスターすることが大切です。


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2003年1月21日(火)

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