服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第108回
結婚式とグレー・モーニング

グレー・モーニングというのを知っていますか。
モーニング・コートはふつう黒の上着、
グレーのチョッキ、縞ズボンで構成されています。
ところがグレー・モーニングは
上着もチョッキもパンツもすべてグレー。
だから“グレー・モーニング”。

またの名前を“アスコット・モーニング”とも言います。
むかしアスコット競馬場に集う、
先端的な人たちの流行からはじまったので
その名前があります。
ですから今でもアスコット競馬場では伝統的に
グレー・モーニングで盛装することがあるのです。
ついでながらアスコット・モーニングに帽子を被るときには
グレー・トッパー(グレーのシルク・ハット)で
揃えることになっています。
とにかく靴以外は徹底的にグレーで統一するのが、
グレー・モーニングなのです。
その靴についても“スパッツ”という名前の
靴カバーを掛けることがあります。

どうして今、突然にグレー・モーニングの話を持ち出したのか。
よく昼間の結婚式に新郎が
タキシードを着るのはおかしいではないか、
という意見が出ることがあります。
では正式には何を着るべきか。
その解答が、グレー・モーニングなのです。

モーニング・コートが現状の昼間の正装着であることは
言うまでもありません。
そして結婚式に限っては
新郎はグレー・モーニングということになっています。
逆に言いますと、新郎がグレー・モーニングであるときには、
それ以外の服装で列席するのがエチケットなのです。
もっともそれほど正式の結婚式があったとしての話ですが。

グレー・モーニングを着るときにぜひとも必要なのが、
礼装用アスコット・タイ。
シルバー・グレーのシルク地で、
幅広の、スカーフ状のネクタイ。
襟の下で2回結び、左右の両端を重ねた中央を
パールのネクタイ・ピンで留めます。
あとはもう白のカーネーションを襟に飾れば完成です。


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2003年1月9日(木)

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