服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第102回
風呂敷を粋に使う法

折り畳み式の鞄があるのを知っていますか。
この場合、実は風呂敷のことなのです。
風呂敷はまず第一にどんな形のものでも包める利点があります。
そして第二に、包んだものを空けた後は
一枚の布になってしまいます。
これを畳めば袂へでも懐(ふところ)へでも簡単に入ってしまう。

純日本風の便利な鞄、
風呂敷をもう一度見直しても良いのではないでしょうか。
ことに着物を着た場合には、
その実用性に加えて
なによりのアクセサリーにもなってくれます。
色柄をはじめ、形の大小など
好みに合わせて選ぶことができるでしょう。

たとえばホーム・パーティーに招かれる。
ワイン1本、シャンパン1本持ってゆくとしよう。
こんなときにも風呂敷は大活躍です。
ワインは鞄などに入りにくい。
けれども風呂敷なら自在に包めてしまう。
しかも包んだ形が美しい。

ワインはほんの一例で、
形の複雑なものを包むにも重宝するはずです。
あるいは身のまわりの小物を入れることもできます。
つまり和風セカンド・バッグとしても使えるでしょう。
財布をはじめ、細々としたものを入れ、
細長く包み、着物の上から腰に巻くのもひとつの方法です。
むかしの侍などは肩から斜めに背負ってから、結んだもの。
和風ディパックといったところでしょうか。

さて、数ある風呂敷のなかでも基本中の基本は紫色の一枚です。
もしこれでちりめん地なら、極上品。
表面に、細かい、美しいシボがあらわれているところから、
ちりめん(縮緬)と呼ばれます。
なぜ、紫色の風呂敷かといえば、
吉凶を問わずどんな場合にでも使えるからです。
また紫色ならどんな着物にも持てるでしょう。

極上の風呂敷を買う場合には、
まず例外なく名前を入れてくれるはずです。
ごく一般的には隅に小さく、姓を漢字で入れます。
もちろん好みで頭文字などにすることもできるでしょう。


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2003年1月3日(金)

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