服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第19回
アスコット・タイの上手な結び方

アスコット・タイは
もっと見直されて良いのではないかと思います。
幅広の、ゆったりとしたスカーフ状のタイのことですね。
スポーツ・シャツの襟元などに
よくあしらわれる装飾品であることは言うまでもありません。
時にアスコット・スカーフと呼ばれることもあります。

スポーツ・シャツと限ったわけでなく、
丸頚スェーターの下に巻いたりするのも粋なものです。
たかがシルク1枚と思うかもしれませんが、実に暖かい。
アスコット・タイを巻いていたために
風邪をひかなくてすんだ、ということもあるでしょう。
部屋のなかではパジャマの上、
ガウンの下にも巻くことが出来ます。
それに旅先でも不要になったら外して、
畳んでコートのポケットにも入れておけるのです。
こんなに便利なアスコット・タイを
ただ古くさいと片づけるのは損ではないでしょうか。

さて、ここでアスコット・タイの上手な結び方について。
ただ首の前で一重結びにするのは、賢明ではありません。
まず最初、通常のネクタイのように
プレーン・ノットで結びます。
そして前の、長いほうの一端を結び目の裏から通して、
首の前に拡げる。これで完成です。
この方法ですと結び方に一段とヴォリュームが出、
しかも結び目がゆるむことがありません。
ぜひ一度試してみて下さい。

アスコット・タイはネクタイとそれほど大差ありませんし、
2枚3枚と色相違いで持っていても邪魔にはならないでしょう。
友人への贈物にも適していると思います。

ただし「アスコット・タイ」は和製語の一環で、
英米では通じません。
悪くすると礼装用コーナーに案内されるかも知れません。
そこで一言、”クラヴァット・プリーズ”と言えば良いのです。
我々がアスコット・タイを呼ぶものを彼らは
”クラヴァット”と称するからです。
もっともフランスではこれは単に
「ネクタイ」を指す言葉になってしまいます。


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