今まさに芽吹こうとするアジア株を
アジア株研究家・平田さんがレポートします

第117回
フィリピン

フィリピンは、第二次大戦後は
アジアではもっとも進んだ国と考えられていました。
民主主義が根付いていましたし、
社会がアメリカナイズされた良い影響が出るように思えました。
しかし、一人当たりの所得はいつしか多くの国に抜かれ
失業率も高い国になってしまいました。
治安の悪さと社会基盤の整備の遅れが
外国からの投資を遠ざけています。

それでも、人件費が安いので、欧州や日本の企業が
バックオフィスとして利用しています。

この国は非常に豊かな数十の家族が
国土の半分以上の土地を所有しています。
19世紀にはスペインがこの国を植民地にしていました。
自国に利益をもたらすためサトウキビ・タバコの大農場が作られ
そこの所有者がフィリピンの支配者になりました。

24議席からなる上院議員や歴代大統領の多くは、
この特権支配者層となんらかの関係を持っています。
過去に大統領となったマルコス氏・エストラーダ氏は
特権支配者層との繋がりが薄く、
それが人気の原動力となりました。

父が大統領であった現大統領のアロヨ氏も
特権支配者層の一員です。
前大統領のエストラーダ氏に
「国民のための政治」を望んでいた庶民にとっては
「特権支配者層のための政治」へとまた
振り子が動いているようにも見えます。

2001年5月中旬、
アヨロ大統領が国民から選ばれた真の大統領となるべく
戦った選挙戦では、
エストラーダ氏を選挙直前に逮捕しました。
この事態を見え透いた政治ショーと見て取った民衆は、
反アヨロ氏を旗印にエドゥサ大通りに集まりました。
なんとか鎮圧されましたが、この騒ぎがあった選挙では
敵陣の活動家を殺したり誘拐したりする事件が頻発し、
双方で100名以上の死者を出しました。

「革命」という言葉や「特権階級」という言葉が、
この国ではいまだ死語ではありません。
真の離陸の時期はまだ待たねばならないのでしょうか?
私有財産制は根付いていますし
株式市場の崩壊のリスクは少ないとは思われます。



当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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