死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第102回
お金が貯まるかどうかは女房の才覚しだい

私のところへ財産管理のことで相談に来る人を見ていると
よくわかるのですが、
総じて言えば、女性のほうが真剣です。
ご亭主のほうは会社の仕事があるから、
子どものことから家計まで
すべて女房に任せたという夫婦が多いんです。

そういう奥さんは、子どもが大きくなって
学費がかかり始めると、
これはたいへんだと思って真剣になります。
かと思うと、全部ご主人に任せっきりで
何ひとつわからないという奥さんもいる。

その両者を比較すると、財産づくりのうえで、
はっきりと差が出てきます。
奥さんが無関心な家庭は、たいてい財産が貯まりません。

夫婦揃って相談に来るのにも、二通りあります。
ひとつは、主人のほうが
「女房の協力がないとできないから、女房も連れてきました」
というタイプですが、ごく少数といっていいでしょう。
たいていは女房主導型で、奥さんがこんなふうに言います。

「私はこう思ってるんですけど、
主人がなかなかウンと言わないんです。
先生からおっしゃっていただければ、
主人も聞くと思いますので、連れてきました」

”似たもの夫婦”といって、
毎日、一緒に暮らしていると考え方も似てくるとか言いますが、
私が見たところでは、ちょっと違うんですね。

一緒になったわけですから、
基本的には趣味や考え方で共通した面があるんでしょうけれど、
まったく相反しているように見えながら
うまくバランスがとれている。
それが夫婦なんです。
ですから私は、”バランス夫婦”と呼んでいるんです。

亭主のほうが人がよくて、
なんでも「ウン、ウン、いいよ」というタイプだと、
奥さんのほうがしっかりと財布のヒモを締める。

二人ともヒモをゆるめっ放しでしたら、
家計は成り立ちません。
また、二人してケチだったら、
ツマはじきされて、だれもつき合ってくれなくなります。
片方が一生懸命にいい顔をしようとしたら、
もう片方がしっかりと締める。

こういうバランスのとれた夫婦は、
だいたいお金が貯まるんです。
私のところへ来る夫婦で、女房主導型が多いということは、
それだけ内助の功でもっている
家庭が多いということでもあります。

すこし前は、「どこぞよい養子の口ないかな」
とロ走る男がけっこういたものですが、
最近は、あまり見かけなくなりました。

世の中が豊かになったので、
べつに女房の金をあてにしなくても、
ちゃんと食ってはいける。

少々、援助してもらったくらいで、
女房に頭が上がらなくなるのは
割に合わないと考える男がふえてきたんでしょう。

だからといって、女房を頼りにしていないわけではない。
女房の才覚といいますか、
家計管理の能力をあてにする男がふえてきています。





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2013年7月15日(月)

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