死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第78回
愛想のない女性と一緒にいると、お金もツキもどんどん逃げて行く

むかしから「女房が悪けりゃ百年の不作」と言いますが、
不思議なものですね。
一緒になる相手によって
人間のツキが変わってくることがあります。

ある女性と一緒になったり、恋仲になったりしたとたんに
金銭面で思わぬ損をしたり、
仕事で失敗がつづいたり、さんざんな目に合うことがあります。

どの人がどんな運をもたらすかは、
実際に一緒になってみないとわからないものです。
そういうわけでもないでしょうが、
最近では、一緒になるとしても
結婚してから一緒になるのではなく、
その前に試験結婚からはじめるカップルが多くなりました。
考えてみると、このほうが合理的ですね。

平均寿命も延びていることだし、
いきなり結婚をして、あとになってから、
この人と一緒じゃ一生たたると気がつくのではおそすぎます。

知り合ったとたんにすぐ一緒になって、
もうイヤになったから別れるというより、
先にお互いに味だめしをしてみて、
これなら長つづきすると自信を持ってから一緒になるほうが、
ケガがなくてよいと思います。

ツキを呼ぶか呼ばないかのひとつの目安は、
その女性が愛想がいいか悪いかということがあります。
もちろん、愛想の良いほうがいいに決まっている。
一緒になった奥さんしだいで、
友だちが寄りつくようになったり
逆に離れていったりすることは、よくあることです。

奥さんの電話の応対が愛想よければ相手に好印象を与えるし、
仕事の関係もうまくいくようになります。
反対に、家へ帰るといつも不景気な顔をしている奥さんでは、
家へ帰るのがだんだん億劫になってきます。

アメリカでもそうですが、とくに中国では、
かならずといっていいほど、
つきあいは家族単位で行ないます。

だから、奥さんはつきあいの主要メンバーなのです。
仕事でつきあっている人も家に招きますし、
外で食事をするときも奥さんが一緒に招ばれます。

私が台湾に行くとき、女房を連れて行けば、
友人たちも一人残らず奥さんを同伴して来ます。
相手の奥さんを見て、
「あ、この人は感じ悪いな」
「ちょっと不愛想すぎるな」とか思ったら、
つぎにはその夫妻はご遠慮願おうか、
ということもありうるわけです。

ですから、これから結婚する若い人に言いたいんですが、
結婚する前にテスト期間を設け、
自分たちがうまくやっていけるかどうかを
先に確認しておいたほうがよい。

しばらくつきあってみて、
どうもしっくりいきそうにないとわかれば、
結婚はやめておいたほうがよい。
そうした生き方は、打算的じゃないと思うんです。





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2013年6月20日(木)

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