死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第51
「ぜいたく」でバランスをとってこそ節約もできる

一般の家庭を見ると、
ムダ使いをしないようにということばかり
子どもに教えていますが、
ほんとうにお金の値打ちをわからせるためには、
ぜいたくを教えるのも、
バランスをとるうえで必要なことです。

ぜいたくとは何かということがわかれば、
倹約がどういうことかも自然とおぼえるものなのです。
ぜいたくをしたければ、
お金も儲けなければならないし、
貯金もしなければなりません。

ぜいたくすることの素晴らしさを知って、
もう一度この素晴らしさを味わうために
頑張ろうと発奮することになるわけです。

バランスという点からいうと、
むかしから、
「嫁をもらうときにあまり身分の違う家からもらうな」
と言われます。
それは、貧しい家庭に育った人は、
お金を使うことに慣れていない。
そういう人がお金を自由に使える身分になると、
頭がおかしくなってしまう心配があるからです。

ですから、似たようなバランスのとれた家から嫁をもらうと、
割合いにうまくいくようです。

貧しい家に育った人が間違って大金持ちの家に迎えられると、
必要以上に威張ったり、
必要以上にお金の力を過信する傾向があるようです。

ですから、お金とつき合うにも、
バランスがとれた形がいいんです。
お金を貯めるには、もちろん倹約がたいせつなんですが、
それとバランスがとれた形で、
ある程度ぜいたくをしてみると、
極端な欲求不満に陥らずに、
お金への感覚がつくのです。





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2013年5月22日(水)

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