第679回
旬の魚を四季愉しむには
最近は健康のために、歩くようにしている。
通勤でも、自宅のある幡ヶ谷から新宿駅まで、
なるべく歩くように心がけている。
甲州街道に平行して、
多摩川上水跡に作られた公園がかなり続き、
その中を通ると、
木々の変化が季節の移ろいを感じさせてくれる。
朝の散歩通勤によって、
肉体と精神の両面から、健康の恵みを自然が与えてくれる。
春を感じると、春の旬の食材を食べたくなる。
美味しいことはもちろん、身体にもいい作用を及ぼす。
野菜もそうだが、
魚を旬の変わるごとに
同じ料理屋で食べることを一年間続けると、
旬の変化がだんだん理解できてくる。
そのような意味で、なるべく通うようにしているのは、
銀座「こびき」に新橋「鮨処しみづ」。
では、食材の旬による変化を適切に愉しむには、
どの程度の頻度で通えばよいかということが問題になる。
「旬」という言葉自体は
月が上旬、中旬、下旬と分かれることからも分かるように、
10日間を示す。
では、月に3度通わなければいけないかというと、
そうでもない。
この旬は産地を固定した場合の話であって、
築地に入荷する魚は全国各地から入るので違ってくる。
北海道から九州までの、日本の各地から入る魚介類は、
同じ種類でも1ヶ月から2ヶ月の時間差を持っている。
そして、旬となる期間も2ヶ月間くらいは最低ある。
このような観点から、上記の料理屋には
1〜2ヶ月に一度くらいの頻度で行くようにしている。
そうすると、旬となっている魚の種類の違いだけではなく、
同じ種類でも産地が変わってきたことによる季節感も愉しめる。
たとえば、銀座「こびき」には、
今年になってから1月、2月、3月、4月と一度ずつ行っている。
5月には私が幹事役で
「豊かな東京湾再生委員会 食文化分科会有志試食会」
を開催する予定だ。
この毎月通うことは無理やり予定を合わしているのではない。
色々な会食の予定が入るときにときに、
そろそろ行きたくなって、自然に選択して行っている。
コラムを書きながら、これまでの予定を再確認してみたら、
見事に1ヶ月ごとの訪問となっていたので、
びっくりした次第だ。
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